活動レポート

【がんアライアワード2022受賞企業 講演レポート】日本オラクル・エグゼクティブが取り組む、がんと就労の両立支援

【がんアライアワード2022受賞企業 講演レポート】日本オラクル・エグゼクティブが取り組む、がんと就労の両立支援

2022年12月7日、「がんアライアワード2022」表彰式をオンラインにて行いました。表彰式では受賞企業51社から代表して、ゴールドを受賞した日本オラクルと、シルバーを受賞したエグゼクティブが講演を実施。

 

本記事ではその様子をご紹介します。

 

<登壇者プロフィール>

日本オラクル株式会社 川向 緑さん/ソーシャル・インパクト プリンシパル・スペシャリスト 

株式会社エグゼクティブ 鈴木はるなさん/パブリックリレーション部 PRプロジェクト プロジェクトリーダー

日本オラクルの取り組みの基にある『Culture Starts with You』の精神

 

オラクルは、アメリカに本社を構えるIT企業。175カ国で13万5000人の社員が働く多国籍企業で、日本オラクルには約2500人の社員がいます。

 

「イノベーションを生み、成長し続けるには、さまざまな人種・国籍の全ての社員が、その人らしく働くことが必要です。そのために取り組んでいるのが、社員主体のD&I『Culture Starts with You』。『こんなカルチャーの会社で働きたい』と思うのであれば、誰かがそれをつくるのを待つのではなく、自分を起点に始める。そんな意味が込められています」

 

同社には、共通の関心事を持つ社員が集まったコミュニティ「ERG(Employee Reseurce Group)」が全世界に存在し、実際に社員起点のさまざまな取り組みが行われています。

 

 

そんな中、日本で立ち上がったERGが、女性、性的マイノリティー、障害を軸とした3つのコミュニティです。

 

「ERGごとにそれぞれ活動をしていますが、大変面白い発見がありました。それは、最終的にはカテゴリーを超えて、『誰もが生きやすい社会を目指す』ということです。それぞれのテーマを軸に考え始めた施策も、それを病気の治療や介護など、さまざまな生きづらさを抱えている社員にまで適用範囲を広げてみると、結果的にみんなが働きやすくなる。つまり、各ERGが最も重要だと思い至ったのが、『インクルーシブな職場であること』だったのです」

 

現在は全ての人が働きやすい職場をつくるために、ERGメンバーと人事が一緒になり、「特定のERGだけが利益を受けるような制度設計にしないこと」を心がけながら人事制度を改善中。

 

「時間や場所に限定されない働き方や1時間単位の疾病・看護休暇は、もちろんがん治療をしながら働いている社員にとってメリットですが、他にも不妊治療を受けている社員、ホルモン治療を受けているトランスジェンダーの社員、介護、子育て中の社員など、あらゆる社員が気楽に使える制度になっています。制度においても、インクルーシブな考え方が非常に重要だと感じています」

 

 

また、一般的にはコロナ禍で在宅勤務をはじめとしたリモートワークが普及しましたが、当社ではすでに2004年から事業継続も見据え、全社員が利用可能な在宅勤務制度を整えており、リモートワークに対する取り組み姿勢にも、同社ならではの考え方があります。

 

「自宅で働いていると、プライベートと仕事の境界は曖昧になってしまいがちです。その際に私たちが大切だと考えているのは、『Wholeness』という考え方。リモートワーク環境下でも継続的に業務を遂行し、高い成果を発揮を発揮するためには、心理的安全性も重要な要素であることが分かりました」

 

 

そして、心理的安全性がある職場をつくる際にも、「Culture Starts with You」の考え方を取り入れています。

 

「誰もが安心して働ける職場がほしいと思った人が、まずは自分の弱さを認め、それをシェアする。それによって『ありのままの自分で大丈夫だよ』という姿を体現していくのが当社の考え方です」

 

がん治療と仕事の両立支援に関しては、2022年10月に『PINK MONTH』と題し、全世界のオラクルで乳がんの啓発活動を行っています。日本オラクルでは「同僚とがんについて語ろう!」をテーマに、オンラインのパネルディスカッションを実施。

 

「まだまだ職場でがんのことを気楽に話す雰囲気ではないのではないか。そんな問題意識から、『まずは私たちが声を上げよう』と、若年性の乳がんを経験した社員、パートナーががんになった社員、そしてがんを経験した私の3人が登壇しました。

 

パートナーががんになった社員がチームミーティングで本ウェビナーに登壇すると報告したところ、ミーティング後に同僚の一人が『実は私の家族もがんなんです』と打ち明けてくれたそうです。『自分が話をすることで、他の人も言いやすくなるのだと知った』と感想を教えてくれました。

 

ウェビナーでは、押し付けにならないよう気をつけました。多様性を大切にすることは、他人の考え方を尊重することでもあります。そのため、最初に基本スタンスを共有し、発言が安心して受け入れられる環境づくりを意識して進めました」

 

 

「ウェビナーのトピックは、4つのカテゴリーを用意し、参加者にアンケートを実施。がん治療と仕事の両立について聞いてみたいという声も多かったので、うれしかったことも苦しかったことも、赤裸々に話しました」

 

 

「パートナーの方が乳がんを経験した男性社員が登壇してくれたことで、男性が約3割と多く参加してくれたのがよかったなと思います。乳がんは男性からは遠い病気かもしれませんが、『もし家族が罹患したら?』と自分ごと化することで、男性にも乳がんを知ってもらう機会になったと思います」

最後に、川向さんは「風土は誰かがつくってくれるものではない」と強調します。

 

「『誰かがやってくれる』ではなく、『自社にこんな風土があったらいいな』というきっかけを、ぜひ皆さんが主体となってつくっていただければと思います」

 

>>【がんアライアワード2022 ゴールド】日本オラクル株式会社の「がんと就労」施策

 

エグゼクティブが目指す「どんな状況でも働いていける環境」

 

株式会社エグゼクティブは、国内外でクライアントの営業支援を行う企業です。がんアライアワードには初回から毎年参加し、5年連続でシルバーを受賞していますが、実は同社にがんに罹患した社員はいません。

 

「それなのになぜ毎年アワードに応募するのかとご質問いただくことがあるのですが、その背景には『働きたいけど働きにくい事情を持った全ての人が、安心して働ける環境をつくる』という思いがあります」

 

 

2017年には、「働くのに場所も時間も関係なし!」をコンセプトに、『NLPT宣言』を社内外に表明。それ以来、働き方改革に取り組んできました。


2020年には全社員が完全にテレワークへ移行したことをきっかけに、採用活動も全てオンライン上で完結する仕組みに変更。その結果、「地方在住の方や、何かしら事情があって仕事との両立が難しく、好きな仕事を諦めていた方の雇用につながっています」と鈴木さん。

 

 

エグゼクティブでは、週3正社員、時短正社員、フルタイムの3つの働き方を用意。状況に合わせて1カ月単位で働き方を変えることが可能です。

 

「私自身、妊娠出産、子どもの習い事が忙しかった時、通勤中に転んで怪我をしてしまった時など、生活環境が変化するたびに勤務体系を変えてきました。多い時では半年に3回働き方を変えたこともあります。これは特別なことではなく、ほぼ100%の社員が何かあった時に働き方を調整しながら、キャリアアップを続けています」

 

誰もが不安なく働き方を変えられる理由は、些細なことを相談しやすい環境があるのはもちろん、「イレギュラーな事態が発生した場合でも業務を滞らせない仕組みがあることも重要なポイント」だと言います。

 

 

こうした環境を支える取り組みとして、同社ではNLPT宣言に基づいた6つの制度を運用。これらの制度を活用しながら、「10人10通りの働き方」を実現しています。そして、これらの制度のほとんどが、従業員の困りごとから生まれています。

 

「何か問題が起きた時、その人固有の問題にするのではなく、会社ができることを一緒に考える。その姿勢を大切にしているので、目の前の従業員の問題を解決するところから多くの制度がスタートしています」

 

 

「本当に困っている人は、今日にでもそれを解決したいと思っているはず」と鈴木さん。だからこそ、環境を完璧に整えようとするのではなく、「改革のスピードを大切に、やりながら一緒に良いかたちに落とし込んでいくことを意識している」と続けます。

 

「その際、誰が何に困っているかが分からなければ、力になりたくても何もできません。特にリモートワークでは各自の状況が見えにくい課題もあります」

 

 

「そこで、すぐにフォローし合えるよう、自ら発信することを強化しています。全員がすぐに積極的に発信できるようになるわけではないので、「こんな個人的なことを発信してもいいのかな」といった不安を失くせるよう、『発信は大事だよ』いう声がけをし、安心して発言、相談ができる環境をみんなでつくろうとしています」

 

最近では、一人一人が当事者意識を持って、より良い環境にしていこうとする社員発の行動が増えたそうです。

 

「メンバーの人柄を深掘りする動画社内報や、スキルアップのための営業術研修の動画など、多方面での発信をしています。産休育休などで長期間お休みしていたメンバーからも、『浦島太郎状態にならずに済んだ』と好評です」

 

同社の全ての取り組みの基になるのは、「働きたいけど働きにくい事情を持った全ての人が、安心して働ける環境をつくる」という考え方。性別や年齢、子どもの有無などを問わず、全ての社員がいつでも制度を活用することができます。

 

「助け合いの文化、そして誰でも安心して活用できる制度の2つがきちんと組織に根付いていることが、枠組みだけで終わらない活発な制度活用を実現しています。そして、自分が理想とする働き方を選択できることは、人生を豊かにする上で非常に重要なポイントです」

 

最近では、現役引退後の人生設計までを含む、理想的な未来を実現するためのトレーニング制度『SHIP』を導入。仕事とプライベートの目標を社長との1on1で話し合い、不安を感じることなく成長できる環境をつくろうとしています。

 

「さまざまな事情を持ちながら仕事を両立しているメンバーが周りにたくさんいるので、何が起きてもきっと自分らしく働けるんだろうと、私自身も感じています。漠然とした不満がなくなり、『何かがあった時に仕事を諦めるのではなく、働き続ける選択肢があることはとても大きい』という声は社員からも多く挙がっています」

 

 

 

「この先、どのような変化があるかは誰にも分かりません。エグゼクティブは社員一人一人を全力で応援し、どんな状況でも働いていける環境をつくり続けることをここに宣言いたします」

 

>>【がんアライアワード2022シルバー】株式会社エグゼクティブの「がんと就労」施策

 

>>「がんアライアワード 2022」受賞企業と事例集はこちら 

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