がんアライアワード受賞企業の取り組み事例

   

【がんアライアワード2022 ゴールド】日本オラクル株式会社の「がんと就労」施策

【がんアライアワード2022 ゴールド】日本オラクル株式会社の「がんと就労」施策

がんアライアワード2022に寄せられた、各社の「がんと就労」への取り組みをご紹介します。

 

ゴールド受賞:日本オラクル株式会社

業種: IT

従業員数: 2,400名

https://www.oracle.com/jp

取り組みのきっかけ

 

がんに関わらず、ダイバーシティ&インクルージョンの考えを発展させ、誰もが働きやすい職場環境づくりを目指す一環として推進している。

 

がん治療に関する取組みの整備は、全社員約2,400名の中のある1人の社員の働きかけによってはじめられた。日本オラクルでは、こうしたERG(Employee Resource Group)の活動は、いずれもそのような社員の小さな一歩により始められ、次第に大きな活動に育っており、現在では、LGBTQや障碍者支援、女性活躍推進などが展開されている。

 

風土づくり

 

◆裁量労働をはじめとしたみなし労働制等を幅広く適用し、出退勤時間に柔軟性があることから、がんに限らず通院やその他の私的な用件がある際には、上司と合意の上で全日休暇を取ることなく、治療と勤務の両立することも可能である。

 

◆休暇に関しては年間20日(勤続年数に関わらず全社員に付与)の年次有給休暇に加え、本人及び家族の傷病疾病時の介護・看護に利用できる傷病休暇(有給)を年間5日間付与している。傷病休暇は、1時間単位で取得申請が可能であり、家族の介護、看護や社員自身の不妊治療、がん治療等々、傷病、治療など幅広く適用ができる。例えばがん患者でも状況に応じて治療(休務)と仕事(勤務)を両立することが可能。こうした制度の活用によって、「がんだからすぐに退職する」ことなく、勤務を継続することができる土壌がある。

 

◆2021年からは社員ボランティアによるコミュニティODAN (Oracle Diverse Ability Network)を立ち上げ、障害をもつ社員のほか、がん等の病気を患う社員を支援する活動をはじめた。10月をPINK MONTHと設定し、全世界で乳がん啓発活動を推進し、アウェアネス向上のためのウェビナーやバーチャルチャリティランを実施し、世界中の社員が参加できる仕組みを実施している。日本でも社内のがん経験者、がん患者家族社員がスピーカーとなり、「早期発見」「がんと治療」「がんと就労」「伝え方」などをテーマにパネルディスカッションを実施ししている。

 

◆ライフイベント等に応じて、役割を柔軟に変更できる人事制度を導入している。具体的には、部下をもつマネジャーと部下のない社員(IC=Individual Contributor)の2つのカテゴリーを、柔軟に行き来できるような仕組みとしている。マネジャーとICの間に優劣はなく、病気などのライフイベントに対応できる。

 

◆定年を65歳とし、加えて70歳までの継続雇用制度を導入している。優秀な社員は年齢に関わらず、継続的にパフォーマンスを発揮できる雇用制度を持ち、エイジ・ダイバーシティの観点からも働きやすい環境を整備している。

 

相談できる環境づくり

 

◆社員が体調面で不安に思った際には、産業医と健康面談が可能。

 

・また社員誰もが、悩み事があればEAP(Employee Assistance Program)という仕組みを通じて、外部のカウンセラーへの相談ができる。相談内容は、健康に関わる事項の他、自身のキャリア形成やプライベートの相談事でも対応。このプログラムは、毎月の新規入社者向けのオリエンテーションで人事部門が説明し、また社内相談窓口のひとつとして、イントラネットで常時公開されている。

 

・2004年からいち早く在宅勤務制度を運用してきたが、コロナ禍以降は感染防止の観点から全社員をリモートワークとし、オフィスを再開した現時点でも、多くの社員が自宅から勤務する、出勤とリモートワークとのハイブリッドな勤務形態が継続している。こうした労働環境においては、産業医や保健師との対面での接点を持ちづらいことから、入社オリエンテーションにて産業保健スタッフを紹介する機会を設け、また特に新卒社員向けにはWeb会議を活用した個別相談会を実施するなど、社員健康管理の推進に工夫を凝らしている。

 

◆がんに罹患した社員が希望した場合、本人、人事担当者、上司、産業医、保健師とで連携し、適切な勤務プランを策定し、運用する環境がある。

 

制度

 

◆社員は年に1回の定期健康診断が必須。未受診者には、個別にリマインドメールが送られ、診断漏れを防いでいる。35歳以上からは胃、乳房、子宮の検査項目がある。

 

◆団体扱い保険の保険にがん保険があり、個人加入よりも保険料の割引が適用可能。

 

また、会社では、団体長期総合福祉保健と団体長期給与補償保険に加入している。これによって、社員が死亡もしくは高度障害状態となった場合に遺族もしくは社員本人に保険一時金が支給され、また病気等で長期の休養が必要となり、所得減額が発生した際に標準報酬月額の50%を最長65歳まで保証される仕組みがある。

 

加えて、希望する社員は保険料を自己負担することで、これに上乗せして保険に加入することも可能であり、最大標準報酬月額の100%までの所得補償を受けることも可能である。

 

◆カフェテリアプラン(選択型福利厚生制度)を運用しており、社員とその家族の予防接種、あるいは定期健康診断以外の健診(脳ドックなど)を受けたりした場合などに給与にて一定の補助金を受給する制度がある。

 

また、カフェテリアプランには保険料補助のメニューもあり、団体生命保険や個人負担の長期給与保障保険に加入している場合、給与から控除される月額保険料にカフェテリアプランのポイントを充当することも可能となる多様な福利厚生制度も運用している。

 

◆育児や介護に加えて、障害や傷病のケースでも、時間限定勤務(所定労働時間のみの勤務)や時短勤務を適用することもが可能。がん闘病中には療養に専念してもらいたいが、体調が改善すれば勤務時間を限定した働き方も選択できる。

 

また、在宅勤務制度も整っているため、疾病からの復職にあたってソフトランディングを可能とする多様な勤務制度を運用している。

 

その他の取り組みやエピソード

 

◆社員コミュニティのODAN (Oracle Diverse Ability Network)は、もとは障害のある社員とともに働くことを想定して始まったが、障害(disability)ではなく、多様な能力(Diverse Ability)に注目することで、障害だけではなく病気や怪我、メンタルヘルス、発達の凸凹など、社員やその家族の様々事情を想定したインクルーシブな職場作りを目指して活動をしている。

◆社内に向けてのイベントや社内SNS等で、AYA世代のがんサバイバー社員を始めとするがんを経験した社員が実名で発信することで、社内で「がんに罹患しても就労し続けられる」という認知が高まっている。

 

・また家族ががんに罹患した社員が自分の経験をシェアすることで、家族を含めて「がんになったら」という想定を考えるような土壌も広がりつつある。このような活動を継続していると、当事者社員に「実は私も」「実は私の家族も」という社員が自分の状況を共有してくれるようになり、職場の中でゆるやかにつながって気楽に悩みを相談できるような風土ができはじめている。

 

抱負

 

自身の経験から、がんが発覚したときに気軽に相談できる人がいると心強いと感じるので、「がんと就労」をテーマにした茶話会をリアル/オンラインで実施し、カジュアルに悩みを相談できる場を作っていきたい。

 

まだまだ「がん」に対して負のレッテルや偏見(スティグマ)があるケースがあるように感じるので、がんサバイバー社員が「当たり前」に働いている姿を見せ続けることで、がんが特別に怖いものではなく、備えて対応すれば働き続けられるものだという認識をさらに広げていきたい。

  

講評・コメント

 

・ライフイベント等に応じて、役割を柔軟に変更できる人事制度を導入さされたことにより、臨機応変に対応してもらえそうな安心感を覚えます。

 

・社内に向けてのイベントや社内SNS等で、がん経験者が実名で発信することで、「がんに罹患しても就労し続けられる」という認知が高り、家族ががんに罹患した経験をシェアすることで、「がんになったら」という想定を考えるような土壌も広がっています。また社員が自分の状況を共有しやすくなる風土が醸成されていることが伝わってきました。

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