活動レポート

“がん治療中の部下と上司”に質問!「ほしい制度は?」「休職中のコミュニケーションは?」【第6回がんアライ部勉強会】 - がんアライ部

“がん治療中の部下と上司”に質問!「ほしい制度は?」「休職中のコミュニケーションは?」【第6回がんアライ部勉強会】 - がんアライ部

第6回となる、がんアライ部勉強会を6月12日(水)に株式会社CAMPFIREにて行いました。テーマは「がん治療中の部下と上司の良い関係」。大手人材会社で、がん治療と仕事を両立している金澤雄太さんと、その上司の春野直之さんにご登壇いただきました。モデレーターは発起人の一般社団法人キャンサーペアレンツ代表・西口洋平です。

 

対談後の質疑応答では、参加者の皆さんから金澤さんと春野さんにたくさんの質問がありました。ここではその一部を紹介します。

 

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「復職後、頑張り過ぎてしまう社員が心配です……」

 

【質問】

がんに罹患した部下が復帰した時に、「そんなに頑張らないで」と思ったことがあります。上司としては思うように仕事をやらせてあげたいけれど、無理はさせたくない。このバランスはどうしていますか?

 

春野:正解はないと思っていて、金澤に関しては「思いっきり頑張れ!」と声をかけますけど、別のメンバーだったら違うアプローチをするかもしれません。とはいえ、いずれの場合も体調面はきちんとチェックする必要があるとは思います。

 

ただ、本人は頑張りたいから、ヤバい時も「大丈夫です」と言ってしまうことがある。だから僕は「同僚から上がってきた声」を大事にしていました。金澤と仲が良いメンバーに「最近彼の様子はどう?」と聞いて、「顔色悪いです」といった話があれば、本人が大丈夫と言っていても帰るように伝える。そういう周囲の人からの意見で判断するようにしていますね。

 

 

「関係性が遠い社員は、当事者に声を掛けてもいい?」

 

【質問】

大きい組織だと、関係性の遠い社員もいます。そういう人たちから声をかけてもらって嬉しかったとか、むしろ知らないふりをしてもらった方がありがたいとか、その辺りはいかがでしょうか?

 

金澤:人それぞれですし、時期や状況によって変化もあるんですけど、僕の場合は関係性の遠い同僚であっても、関心を持ってもらえることは嬉しいです。がんサバイバーはどの会社にもいるっていうわけじゃないけれど、働きながらがん治療をしている人は30万人近くもいる。がんを抱えながら仕事をすることは、けして特別なことではないということを伝えたいと思っています。周囲の人に何かしら得るものがあったらいいなと思いますね。

 

 

「休職中、会社とコミュニケーションを取ってた?」

 

【質問】

休職中、会社とコミュニケーションを取っていましたか?

 

金澤:休職期間中は毎月、会社から社内報が届いていました。社内報を通じて会社の状況が感じられたり、変化が分かったり。SNSでみんなの近況も見ていましたね。

 

春野:通常の場合は休職期間中、会社の携帯電話は回収するんです。でも、彼の場合は例外的に休職中も渡していました。携帯で会社のメールが見られる方が、逆に元気になるだろうっていう判断でしたね。

 

金澤:繋がりを感じられたり、帰る場所はここだなって思えたりするのは、安心できるし、治療に向き合うモチベーションになるんですよ。会社との接点があったのはありがたかったですね。

 

 

「欲しい制度は?」

 

【質問】

「こういう制度があったら良かった」もしくは「今後こういう制度があったらいい」というのはありますか?

 

金澤:復帰後に活用した制度は、フレックス制度と有給の半日取得。弊社の場合、午前・午後で有給が取れるんです。あとは通常の有給ですけど、僕の場合はこれで事足りていました。

 

がんサバイバーにとって重要なのは「時間のフレキシビリティ」なんですよね。急な体調不良や検診の際に有給が取りやすいとか、そういう柔軟さがあるのは本当にありがたいんです。そういう意味では、それ以外にあればよかったとか、あった方がいいっていう制度はあまりないですね。

 

なお、リモートワークに関しては制度自体はあるんですけど、僕は申請しませんでした。というのも、体調が悪かったり治療が必要だったりという理由で家にいるのであれば、そこはちゃんと休もうと思ったんです。自宅で治療しながら仕事をするのは、自分の性格上、中途半端になると判断しましたね。

 

春野:管理職の立場で良かったと思うのは、評価制度ですね。昇格・降格の判断軸は成果なんですよ。もちろん行動評価もありますけど、査定にあたって労働時間を考慮することが一切ないんです。

 

つまり、働く時間が短かろうが長かろうが、やるべきことをやって成果を出せていたら評価をされる。そこに救われた部分はあって、もし逆に一定の労働時間があった方が優位になるような制度だったら厳しかったなと思います。

 

 

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登壇者プロフィール

 

金澤雄太さん

大手人材紹介会社勤務。東京在住。妻と二人の娘の4人暮らし。2014年に盲腸の手術をした際の病理検査にて同部位のがん化が発覚、虫垂がん(ステージ2b)の告知を受ける。その後、2016年に肝臓、2017年に肝門部にそれぞれ転移し、ステージ4に移行。肝臓に対しては手術、肝門部に対しては抗がん剤+手術にて治療、現在も経過観察中。2018年より講演活動開始、2018年8月のジャパンキャンサーフォーラム【がんサバイバーの 声を聴こう!】への登壇を皮切りに、企業人事・経営者向けや地域医療者向け、小学校の児童生徒向けなど多方面にて講演実績あり

http://www.cancernet.jp/speaker/post348

 

春野直之さん

2006年より一貫して大手人材紹介会社で勤務。人事・キャリアアドバイザーを経て、現在はインターネット領域を中心に幅広い業界への転職斡旋を支援。また、シニアマネジャーとして 70人のメンバーを管掌しつつ、マネジャーとして 3チームを兼務。

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