がんアライアワード受賞企業の取り組み事例

   

【がんアライアワード2023シルバー】株式会社ZINEの「がんと就労」施策 - がんアライ部

【がんアライアワード2023シルバー】株式会社ZINEの「がんと就労」施策 - がんアライ部

がんアライアワード2023に寄せられた、各社の「がんと就労」への取り組みをご紹介します。

 

シルバー受賞:株式会社ZINE

業種:Webサービス運営(オンラインがん相談サービス CancerWith)

従業員数:10名

https://zineinc.co.jp/

働く人を支える制度・体制

 

【1】がんと就労に関して、あるいは社員の健康や安全に関する基本方針等の表明

がんアライ宣言 

 

【2】休暇制度

傷病・病気休職制度

 

◾️休職制度

勤続1年以上3年未満で3か月以内、勤続3年以上で6か月以内、かつ勤続10年未満で通算2回、勤続10年以上で通算3回の休職が可能。復職の際は、基本的には休職前の職務に復職しますが、体力面やその時の時の状況により、会社と本人で密にコミュニケーションをとりながら同じ職務であっても勤務時間や内容を柔軟に調整することで継続勤務を可能とします。

 

あるいは、希望により別の職務への異動も考慮します。復職に際して、本人のみならず親族とも必要に応じてヒアリングを図り、本人が無理なく継続勤務できる環境づくりを目指します。

 

【3】勤務制度

在宅勤務(テレワーク)制度/長期入院時等の病室からのテレワーク勤務制度/その他の勤務制度

 

■フルリモート制度

がん治療を続けながら勤務を希望する社員が現れた場合、コミュニケーションの質に違いが出てしまうため、一律でコミュニケーションの基本を非同期コミュニケーションにすることを選択しています。自宅だけでなく、病室等からの場所を問わない勤務も可能。

 

◾️タイムゾーンの異なるスタッフの採用

弊社はフルリモートを実現しておりますので、東京、福岡、台湾、カリブ海、アメリカという遠隔地で勤務しています。タイムゾーンが異なるスタッフと働くことに慣れることで、「当たり前」をなくします。治療支援、休職、復職時に働きやすくなる土台作りを行っています。

 

【4】支援体制

上司等との1on1、面談等の機会/休職中のフォロー/(休職した場合)職場復帰支援プランの策定・実行/復職後のフォロー/その他の支援体制

 

◾️WEEKLY ZATSUDANの開催

フルリモート制度で問題となっているコミュニケーションの問題、タイムゾーンの異なるスタッフ間コミュニケーションの不足を解消するために、ミーティング以外で週一度雑談会を始めました。短時間ながらもスタッフ間コミュニケーションを行うことで、信頼関係の構築、相談しやすい環境づくりを目指しています。休職中のスタッフも、任意で気軽に参加することができます。

 

◾️1on1の実施

スタッフ全員が月に1回CEOと1on1を実施。日々のタスクだけでなく、フルリモートだからこそ薄れがちなお互いの価値観や中長期的にやりたいことなどの本質的なコミュニケーションを図ることで良好な職場環境設定に努めています。また、スタッフ間でも適宜1on1をする事で良好な相互理解を目指しています。

 

【5】健康増進支援

健康管理に関するアプリの配配布/その他健康増進支援 

 

◾️自社サービス「CancerWith」を無料で利用可能

弊社の提供するオンラインがん相談サービス「CancerWith」を福利厚生として無料で利用可能。利用の際は希望に応じて匿名でも使えます。本人の不安の解消だけでなく、自社提供サービスの体験向上にも寄与し、巡り巡って多くの方がより良いがん相談をできることを目指しています。

 

【6】その他の制度・体制

取締役3名全員が「がん医療ネットワークナビゲーター」取得

2021年の「がんアライ宣言」で掲げ、予定通り遂行いたしました。経営陣にはがん罹患当事者、がん患者家族もいますので、元々のがんに対する理解がある上、がん医療への知識を深めています。

 

働く人を支える風土、環境

 

【1】啓発、研修

上長・管理職向けの両立支援に関する研修/がんに関するe-ラーニングコンテンツの提供/その他啓発、研修 

 

取締役3名全員が「がん医療ネットワークナビゲーター」取得

2021年の「がんアライ宣言」で掲げ、予定通り遂行いたしました。経営陣にはがん罹患当事者、がん患者家族もいますので、元々のがんに対する理解がある上、がん医療への知識を深めています。

 

【2】情報発信

罹患者の体験談を見られる機会の提供/その他情報発信

 

◾X (旧:Twitter)スペースにて配信

自社顧問である腫瘍内科専門医より各種がんに対する概論は勿論、合わせて事前に集めた質問をもとに配信を実施した。

 

◾「AYA week 2023」関連イベント協力

2023年3月に渋谷ヒカリエで開催された認定NPO法人希望の会主催「若者の街渋谷から発信!一緒に知ろう!ともに考えよう! AYA世代のがんのこと」では運営を協力しました。がん体験者や医療従事者、支援者などによるトークセッションを実施しAYA世代のがんについての情報発信し、数百名単位の方にご参加いただきました。

 

主催者の希望の会代表の轟さんによるイベント企画を間近で拝見し実際に協働したことで、ZINEとしてもがん患者支援・情報発信への重要性を学ぶことができた。なお、来年開催予定のAYA week 2024は、二宮が副実行委員長として参加しています。

 

【3】コミュニティ

がん罹患者・経験者同士のコミュニティ

 

X(旧Twitter)での継続的な配信は勿論、今後はYouTubeでの情報発信を企画中。

 

【4】対外的な活動

がんに関する民間団体等への参画/がんに関する社会的な活動への参加/がんに関するイベント・セミナー等への登壇/その他の対外的な活動

 

◾「AYA week 2023」関連イベント協力

2023年3月に渋谷ヒカリエで開催された認定NPO法人希望の会主催「若者の街渋谷から発信! 一緒に知ろう! ともに考えよう! AYA世代のがんのこと」では運営を協力しました。がん体験者や医療従事者、支援者などによるトークセッションを実施しAYA世代のがんについての情報発信し、数百名単位の方にご参加いただきました。また、二宮はセッションにも登壇。主催者の希望の会代表の轟さんによるイベント企画を間近で拝見し実際に協働したことで、ZINEとしてもがん患者支援・情報発信への重要性を学ぶことができた。なお、来年開催予定のAYA week 2024は、二宮が副実行委員長として参加しています。

 

【5】その他の風土・環境

◾がん相談への対応力の向上

アドバイザーカンファレンスを毎月第2水曜に実施し1ヶ月間で実施した相談内容についてフィードバックしている。また、現在進行形の相談対応についても他職種が随時集まり多方向からの視点で問題を発見し、解決に導く最善の回答を話し合う試みをしている。また、フルリモートのため適宜1on1を実施することで社内の雰囲気を良好化させるように努めている。

 

エピソード・思い

 

今年度は、「浜松市ファンドサポート事業」にオンラインがん相談サービスCancerWithを活用した事業が採択され、CancerWithを活用したがん患者様における経過観察・有害事象把握のための病院DXの実証事業を行うことで、病院・医療者側・患者側双方に生じる課題解決を、浜松市で検証をし、全国へ展開していきたいと考えています。

 

また、製薬企業等での就労に関する講演の機会を複数いただきました。社内の環境を整えるだけでなく、がんにまつわる課題解決の仕組みを社会全体に影響を与えられるよう作っていきたいと思っています。

 

【1】がんと就労の取り組みを始めたきっかけ

◾️代表取締役CEO 仁田坂ががんアライであることを意識したきっかけ

代表者自身が「がんが治る水を作る機械(80万円)を祖母が購入」「母の乳がん罹患」といった体験を経て、がんに対する社会課題を認識。CancerWithの立ち上げに至りました。

 

また、高校の恩師が被差別部落集落のアライとして活動に従事していたことに影響を受け、がん患者のみならず、女性・男性などの性差、身体障害の有無、人種、国籍、アイヌ民族であるなどの文化的背景、被差別部落集落出身であるなど出自に依らずがんと共存し仕事ができる組織を目指すようになりました。

 

◾️取締役COO 二宮ががんアライであることを意識したきっかけ

28歳で乳がんに罹患し、治療のため8ヶ月の休職をしました。当時の会社は、休職から復職まで柔軟に対応してくれた上、復職後もがんであることを問わず職務内容をフラットに評価されました。それによって、休職によって一瞬だけ途切れたキャリアもすぐに元に戻り、現在に至るまで自信を持って仕事に取り組んでいます。

 

しかし多くの同じような病気の方たちと知り合う中で、そういった体験は貴重であると気づきました。若くしてもがんに罹患してもキャリアは継続し、望む仕事をできるということを、取締役という立場でより多くの方々に伝えていきたいと思います。

 

◾️アドバイザー・広報・看護師横田ががんアライであることを意識したきっかけ

私自身ががんサバイバーであり、この経験を活かしたく看護師になりました。看護師として病院で勤務している時には、がんを患い治療が必要である状態の患者様と関わる機会が多かったため、患者様の仕事、生活の支援というものに費やす時間が少なかったと感じていました。

 

株式会社ZINEに入社してから、病院勤務時代は看護師として患者様の治療期間の短時間しか見えていなかった、ということに気づきました。がん患者様も私と同じように治療前後、そして治療中にも生活、仕事、家族がありその比率はとても大きいのです。

 

今はがん看護の経験、私自身のがん治療経験を活かして、患者様、ご家族様の生活や仕事をどのようにしたらベストな形で支援できるか、考え、チームと共有し、そして実行していきたいと思います。

 

【2】他社の担当者への応援メッセージ

担当者の私事ですが、叔父2人が悪性リンパ腫の末期で緩和ケア病棟にいます。アメリカ在住であるため中々直ぐには帰国できず、なんとか6月の帰国した際に1人の叔父には叔父の意識レベルがクリアな状態で面会することができました。

 

しかし、もう片方の叔父にはもう会うことができない可能性が高くお世話になった叔父たちにはできるだけのサポートをしたかったというやるせない気持ちや、今後もう会えないかもしれない不安が大きく、がん罹患経験があったり、がん関連業種で就業していても精神的なダメージが大きく、不安定な時期がありました。

 

そんな中、知識を備えた信頼できる相手に母親の相談をできる環境であったこと、がん患者家族として、とても感謝しています。私が経験したように、もっともっと沢山の悩める患者様、ご家族様に活用していただけるよう一緒に頑張っていきましょう。

 

講評・コメント

 

フルリモート制度やタイムゾーンの異なるスタッフの雇用実績があることなど、先進的な勤務制度を導入されています。

 

自社のオンラインがん相談サービスを社員が福利厚生として無料利用できるようにされており、貴社ならでは取り組みを進められています。

 

 

※上記オレンジ色の枠内の項目は、がんアライアワード2023応募シートでチェックいただいた項目と同一のものです。

 

>>「がんアライアワード2023」受賞企業一覧はこちら

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