がんアライアワード受賞企業の取り組み事例

   

【がんアライアワード2023ゴールド】株式会社日立システムズの「がんと就労」施策 - がんアライ部

【がんアライアワード2023ゴールド】株式会社日立システムズの「がんと就労」施策 - がんアライ部

がんアライアワード2023に寄せられた、各社の「がんと就労」への取り組みをご紹介します。

 

ゴールド受賞:株式会社日立システムズ

業種:情報通信業(システム構築事業、システム運用・監視・保守事業、ネットワークサービス事業、情報関連機器・ソフトウェアの販売と開発)

従業員数:9,998名

https://www.hitachi-systems.com/

働く人を支える制度・ 体制

 

【1】がんと就労に関して、あるいは社員の健康や安全に関する基本方針等の表明

健康経営宣言/がんアライ宣言

 

■健康経営宣言

2017年に社長による健康経営宣言を全社員に周知し、社内イントラ、社外HPにも掲載。

 

『私たちは、企業理念である「真に豊かな社会の実現への貢献」「お客さまに満足と感動をもたらす新たな価値の創造」をめざします。理念の実現にはまず、従業員が健康・家族など「一人ひとりの幸せ」を大切にすることが重要であり、その幸せがあるからこそ、個々が能力を発揮し、いきいきと働くことができると考えています。そして、その結果としての「生産性向上」や「企業理念の実現」に繋げていきます。笑顔と活力にあふれる健康的な職場から、お客さまとともに新たな価値を創造し、社会に貢献していきます。』

 

■がんアライ宣言

がんアライアワード2018応募時に宣言。社内イントラ、社内報に掲載し全社員に周知。

 

■社長メッセージ

期首、年始などがん予防と早期発見に向けた検診受診のお願いなど、健康に関するメッセージを定期的に発信。

 

【2】休暇制度

傷病・病気休暇制度/傷病・病気休職制度/失効有休休暇積立制度/半日単位の有給休暇取得/時間単位の有給休暇取得 

 

■私傷病休職制度

■半日単位や時間単位でも取得できる年次有給休暇制度

 

【3】勤務制度

時差出勤制度/フレックス勤務制度/在宅勤務(テレワーク)制度/サテライトオフィス勤務制度/短時間勤務制度/短日勤務制度/試し出勤制度(復職前、業務は行わず一定期間継続して出勤する等の制度)/リハビリ出勤制度(復職後、休職前の勤務時間より短時間で勤務する等の制度)

 

■フレックスタイム勤務や時差出勤に加えて、2020年10月からは、がん治療の際の短時間勤務や在宅勤務が利用可能。

 

■2022年4月より、治療のための短日数勤務制度を導入。原則として1週4日とし、事情があり会社が認めた場合は、1週3日とすることも可能。仕事と治療の両立支援を強化。

 

【4】支援体制

社員相談窓口の設置/保健師・産業医等の医療職の支援/外部医療機関との連携/外部支援サービス(EAP等)の活用/上司等との1on1、面談等の機会/人事担当者等との面談等の機会/主治医との書面上での情報連携/(休職を要さない場合)両立支援プランの策定・実行/休職中のフォロー/(休職した場合)職場復帰支援プランの策定・実行/復職後のフォロー

 

■産業医・保健師、人事・総務、所属上長、社外のEAPが一体となった両立支援サポート体制を立ち上げ、ホームページやセミナー等を通じて周知している。また、がんの治療状況別に利用できる支援制度を一覧表にまとめたものを活用するなど、スムーズなサポートができるよう工夫している。

 

■がん治療をしている社員への勤務上の配慮検討のために必要な情報は、社内保健スタッフ(主として産業医)が主治医と情報連携し、配慮検討に必要な情報展開を会社側(人事・総務スタッフ)に行っている。

 

【5】健康増進支援 

健康診断受診率増加に向けた取り組み/健康診断受診率100%達成/がん等の任意検診受診費用の補助/人間ドッグ費用の一部補助/健康診断で「要検査」となった人のサポート/必要に応じた産業医・保健師の面談/定期的な産業医・保健師との面談/禁煙に関する取り組み/日常的な健康増進に関する取り組み(運動習慣獲得、食事管理、睡眠管理等)/健康増進イベントの開催/健康管理に関するアプリの配布/休憩室の整備  /その他健康増進支援

 

■入社時健康診断では、胃がんなどを引き起こす原因となるピロリ菌検査(2018年度~)や、肝臓がんの主な原因である肝炎ウイルスの検査(2019年度~)を取り入れ、発症予防につなげている。

 

■定期健康診断時には、がんの早期発見に有効ながん検診について、従業員とその家族を対象に検診費用の補助を実施し、各年齢・性別に応じたがん検診メニューと補助金申請方法を従業員個々人宛にメールで案内するなど、検診受診率の向上に取り組んでいる。2021年度より疾病予防・早期発見の観点から、がん検査項目に対する検診費用補助の増額を実施した。(平均的な検査費用であれば実質自己負担なし)

 

2022年度より、2021年度の会社補助項目に加え、腹部CT・大腸CT・動脈硬化度検査の会社補助を拡充した。2023年度は女性の健康とシニア世代の健康施策として、腫瘍マーカー(CA125)・骨密度検査の会社補助を拡充した。

 

■定期的な禁煙推奨メール、禁煙セミナーの実施、健保の提供する習慣化アプリ『みんチャレ』と禁煙補助薬がセットになった禁煙プログラム「みんチャレ禁煙プログラム」や「ライト禁煙プログラム」を実施。

 

■社内産業医・保健師が健診結果を確認し、受診フォローを行い早期治療に繋げている。

 

【6】その他の制度・体制

■2022年12月本社近くに診療所を開設する社外の医療機関と提携し、オンライン・対面での受診が可能となり、当社従業員専用受診時間を設置。(本人同意に基づき)社内産業保健スタッフとも連携でき、早期かつ継続的なサポートが可能となった。

 

働く人を支える風土、環境

 

【1】啓発、研修

社員向けのがんに関する研修/女性向けのがんに関する研修/罹患者の体験談を聞く機会の提供

 

■日立グループのがん経験者による「がんと就労を考える:がん予防と早期発見セミナー」を全国で開催し、2017年11月から全国28か所で累計700名以上が参加。検診・発見から治療・仕事の両立に至るまでの体験談や、実際に利用した制度・工夫などを伝え、自分や家族の健康について考える機会としている。2021年度からセミナー動画をオンラインで公開し、現在までに約1100名が視聴(2023年9月時点) 

 

2023年度は11月同セミナーにがんり患者とその上長の事例発表を加えて開催予定。職場や上司が治療と就労をどのように支援したかを伝える。

 

■がんへの理解や予防・早期発見に向けて「禁煙セミナー」「働く女性の健康セミナー」「乳がん啓発セミナー」「子宮頸がん啓発セミナー」「乳がん検診セミナー」等の開催や、治療と仕事の両立に向けた講演会などを開催。オンラインセミナーを開催し、アーカイブ動画を公開。セミナー内で、社内保健スタッフから、がん検診メニューと補助金制度、両立支援制度、仕事と治療の両立支援サポート体制等について説明し、がんに罹患しても相談しやすい風土づくりをめざしている。

 

■2020年11月の社長メッセージで、がん予防と早期発見に向けた検診受診のお願いなど、健康に関するメッセージを発信した。また、コロナ禍による原則在宅勤務の長期化を受け、産業医や保健師によるリモート面談、健康相談窓口の周知、保健師メールマガジン等を発信し、体調面の変化が生じたら気軽に相談していただくよう周知している。

 

■2022年1月 株式会社日立保険サービスと協力し、日立グループのがん経験者による座談会を開催。治療のこと、家庭や仕事との両立、早期発見に向けた検診の重要性など、本音トークをレポートにして社内外に公開した。

 

>>がん体験者による座談会

 

■2023年1月 「おとなの保健授業」と題して、性差による健康課題の違いと対処に関するセミナーを開催し、383名が参加、アーカイブ動画視聴者270名。男女の更年期の違いや受療率の違いなど、それぞれの性、年代による健康問題(乳がん、前立腺がん等含む)について学んだ。

 

【2】情報発信

イントラネット、社内ポータルサイト等での情報発信/メルマガ等での情報発信/社内報等での情報発信/罹患者の体験談を見られる機会の提供

 

■2022年1月株式会社日立保険サービスと協力し、日立グループのがん経験者による座談会を開催。治療のこと、家庭や仕事との両立、早期発見に向けた検診の重要性など、本音トークをレポートにして社内外に公開した。

 

>>がん体験者による座談会

 

■2022年12月がんに罹患した(HISYS)社員より、自身のがん闘病体験を社内イントラに公開し、「早期発見・早期治療」の大切さを全従業員に伝えた。また、2023年2月日立保険サービスに協力頂き、社外ホームページの体験談を社外にも公開した。

 

>>僕のがん体験記(上咽頭がん・腺様嚢胞がん)

 

【3】コミュニティ

なし

 

【4】対外的な活動

がんに関する社会的な活動への協賛

 

■2020年10月に看護大学生の学生実習を受け入れ、教育メニューの中で「がん治療と仕事の両立」取り組みについて事例紹介を実施した。この取り組みは大変好評だったため、2021年度は、6月に5名、11月に5名、2022年2月に24名の看護大学生への実習受け入れを実施。2022年度は11月21名、2023年2月21名の受入れを実施予定。(2023年11月、2024年1月各20名の受入れを予定)

 

■2020年1月のがんアライ部勉強会で、弊社の取り組み事例を発表する機会をいただき、参加企業の皆さまと、取り組み内容や苦労点・課題等について情報交換できたことは、今後の活動への大きな励みになった。

 

■2021年3月に、がん対策推進企業アクションの厚生労働大臣賞をいただき、当社の取り組みを発表する機会をいただけた。受賞式と事例紹介の様子(動画)は、社内報を通じて従業員と家族向けに発信し、当社の支援制度やサポート体制を広めるきっかけにもなった。

 

>>2021年3月3日 令和2年度 統括セミナーを開催しました

 

■2022年12月、がんアライアワードでパネルディスカッションに参加させていただいたことで、これまでがんと就労に関心を示さなかった従業員にも自社の取り組みに関心をもっていただくきっかけとなった。

 

■2023年7月、日本人間ドック学会主催の人間ドックの日記念セミナー「働く女性の健康を考える」のトークセッションに登壇させて頂き、「働く女性のためのコラボヘルス」というテーマで当社の取組みについて紹介した。

 

【5】その他の風土・環境

がんり患者からの相談があった場合に備えて、ダイバーシティ担当者がピンクリボンアドバイザの資格を取得。また、社外のピアサポーター研修参加。2022年度は独立行政法人労働者健康安全機構による両立支援コーディネーター基礎研修にを4名受講修了した。

 

■LGBTQ、病気治療中の社員の支援のためステッカーを作成し、賛同者に配布。PCや携帯電話に貼ることを推奨している。支援が必要なときに相談しやすい風土づくりにつなげている。

 

■定期健康診断やがん検診で精密検査の指示を受けた社員には保健師が個別にフォローしている。また、管理職研修の中で、保健師から健康に関する講話を実施するなど、保健師の活動を社内に周知することで、がんに限らず気になることや困ったときには保健師に相談しやすい風土づくりをすすめている。

 

エピソード・思い

 

2023年1月「おとなの保健授業」と題して、性差による健康課題の違いと対処に関するセミナーでは、病院に行くほどではないが少し気になっている健康問題について、多数の質問が寄せられた。その場で問題解決した方、背中を押されてその後受診した方等様々であったが、気軽に聞ける相談窓口の必要性を強く感じた。弊社には保健師の健康相談窓口やオンライン診療を開設しているが、今まで以上に気軽に活用してもらえるよう伝え方も工夫していきたい。

 

2022年に12月にがんにり患した従業員から、ご自身の体験を伝えることで他の方のお役に立ちたいと提案頂き、体験記を社内イントラ公開しました。体験記はかなり辛い内容ではありましたが、「がんと闘う最も強い武器は早期発見です。」というメッセージに早期発見・早期治療の重要さ、その他、保険や会社のサポート体制の記載もあり、万が一り患した場合の対応方法についても従業員に伝わったかと思います。

 

体験記を読んだ従業員からは「私自身は今のところ健康体であり、遠く感じていた「がん」という病気と、実態を知らなかった「治療」や、治療をしている際の心情を学ぶことができ、自分の健康について過信することなくケアをしていこうと感じました。」や「同じ体験を他の人にしてほしくないという著者の優しさに心が震えました」「健康の大事さを改めて感じ、役所や病院、健保などが勧めるものはがん検診やオプション検査等、なんでもフルセットで受診をしていこうと決意しました」などの感想を頂きました。

 

一人でも多くの従業員が、健康に関心をもってもらえるよう、定期的にメッセージを伝えていくことが重要だと考えています。

 

【1】がんと就労の取り組みを始めたきっかけ

社内のメンバーががんに罹患。病気が発覚し、今後の治療や仕事のことで不安に思っていたところ、同じ病気の体験者に相談にのってもらえたことで不安が解消され、現在は治療と仕事を両立して活躍している。そのメンバーから、「自分自身の経験を生かして、がんの早期発見・早期治療の大切さを伝え、がんに罹患しても安心して働きつづけられる制度やサポート体制があることを伝えたい」という申し出があり、健康経営・ダイバーシティ部門の担当者がこれに共感して、取り組みを開始した。

 

【2】他社の担当者への応援メッセージ

がんと就労に取り組むことは、がん以外の病気の方や健康な方にも働きやすい職場になるはず!大切な仲間と自分のためにがんアライの輪を広げましょう!

 

講評・コメント

 

セミナー「おとなの保健授業」では、「病院に行くほどではないが少し気になっている健康問題」という観点で多数の質問が寄せられたということで、参加者の自発的な質問を引き出したテーマ設定や運営が素晴らしいです。セミナーでの気付きを次の取り組みにつなげていかれようとされていることからも、さらなる取り組みの推進が大いに期待できます。

 

体験記を通じての社内コミュニケーションは、罹患社員の方との信頼関係性を積み重ねられてきたからこそ、生まれたものだと思います。罹患社員の方の他者に貢献しようという姿勢も、それを受け入れて体験記という形で発信されたことも、素晴らしいです。

 

※上記オレンジ色の枠内の項目は、がんアライアワード2023応募シートでチェックいただいた項目と同一のものです。

 

>>「がんアライアワード2023」受賞企業一覧はこちら

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