がんアライアワード受賞企業の取り組み事例

   

【がんアライアワード2022 ゴールド】株式会社日立システムズエンジニアリングサービスの「がんと就労」施策 - がんアライ部

【がんアライアワード2022 ゴールド】株式会社日立システムズエンジニアリングサービスの「がんと就労」施策 - がんアライ部

がんアライアワード2022に寄せられた、各社の「がんと就労」への取り組みをご紹介します。

 

ゴールド受賞:株式会社日立システムズエンジニアリングサービス

業種:システム構築、システム運用・監視・保守、情報関連機器・ソフトウェアの販売と開発

従業員数:2,087名(2022年4月1日現在)

https://www.hitachi-systems-es.co.jp/

取り組みのきっかけ

 

社内のメンバーががんに罹患。病気が発覚し、今後の治療や仕事のことで不安に思っていたところ、同じ病気の体験者に相談にのってもらえたことで不安が解消され、現在は治療と仕事を両立して活躍している。

 

そのメンバーから、「自分自身の経験を生かして、がんの早期発見・早期治療の大切さを伝え、がんに罹患しても安心して働きつづけられる制度やサポート体制があることを伝えたい」という申し出があり、健康経営・ダイバーシティ部門の担当者がこれに共感して、取り組みを開始した。

 

風土づくり

 

◆定期健康診断の申し込み時に、各年齢・性別に応じて受診できるがん検診メニューと補助金申請方法の案内を全従業員に発信するなど、がん検診受診率の向上に取り組んでいる。

 

・がん検診メニューと補助金申請方法案内時に、がんサバイバー社員からの体験談、社員へ向けたメッセージを掲載

 

・定期健康診断やがん検診で精密検査の指示を受けた従業員には保健師が受診をフォローしている。

 

◆管理職研修の中で、保健師から健康に関する講話を実施するなど、支援体制や健康への取り組みを社内に周知することにより、がんに限らず健康全般において保健師をはじめとした関連部門(人事・総務スタッフや産業医も含む)に相談しやすい風土づくりをすすめている。

 

◆2015年度より「がん予防と早期発見」をはじめとする健康に関するセミナーを定期的に開催。2019年度には日立システムズを中心にグループ会社一体となった「がんと就労を考える:がん予防と早期発見セミナー」を実施、当社からも多くの社員が参加。

 

・乳がん・食道がんを経験された日立グループ社員を講師にむかえ、治療と仕事を両立するまでの実体験や実際に利用した制度・工夫点を参加者に伝えることで自分や家族の健康について自分事として考えていただく機会としている。

 

◆2019年7月からは、がんセミナーに合わせて「がんになっても安心して働ける職場づくり」座談会を開催。がんに罹患したら、どうやって治療と仕事を両立し、あるいは職場としてサポートができるのか?について参加者同士で対話する機会としている。

 

◆社内イントラ「仕事と治療の両立」、「健康なんでも相談室」の2つのWebページを作成している。

 

・「仕事と治療の両立」のページでは新たに実際に治療をしながら働いている従業員の事例紹介や通院や短時間勤務時に利用できる社内制度の紹介、「健康なんでも相談室」のページでは、がんを含めた健康セミナーの開催案内、「健康づくり通信」を発信することで、従業員が随時、最新の健康情報を得やすいような環境を整えた。

 

◆がんをはじめとした健康障害予防として、食生活の改善施策の強化を行った。

 

・全従業員に対し、野菜摂取の大切さや、必要摂取量を理解してもらうためのe-ラーニングや従業員同士、楽しみながら野菜摂取をすることを目的とした「野菜摂取選手権」を2022年度も実施。

 

また女性社員に対して、年齢による身体の変化と野菜摂取の関連を知ってもらうために年代別のセミナーを開催し、自らの身体と向き合う機会を多方面から設けた。

 

◆従来、健康診断結果から把握できていなかった婦人科検診の受診率を社内独自で調査している。

 

・会社として継続的に受診率を把握し、婦人科検診の受診の重要性を発信、啓発することで、早期発見、早期治療に繋げていく環境を整えていく。

 

◆生活習慣病健診の数値が高い従業員が多い部門を選定し、対象の従業員に、自身の「現状を知り」、日々歩くことにより 「身体の変化に気づいてもらう」ためのサービス(ヘルスサポートプログラム)をトライアル導入。

 

・従業員自身が健康に関心を 持ち、健康づくりを積極的に進めることができる風土を醸成するため、今後も展開を図る。

 

◆全女性従業員に対し、年度初めに保健師から婦人科検診受診勧奨メールを配信。

 

・メール内容に婦人科検診基礎知識ならびに社内検診費用制度を明記し、婦人科検診受診意識の向上へ向けた働きかけを行っている。

 

・若年層の婦人科検診受診率向上のため、2022年度より入社1~3年目女性社員に対し、保健師から個人ごとに乳がんモデルを用いた自己触診教育および子宮頸がんパンフレットを配布し、受診意識向上への関わりを開始。

 

◆トマトの抗酸化作用についてのコラムとトマトを使ったレシピをカゴメ株式会社さまからご提供いただき、社内報に掲載。合わせて自社農園で収穫した野菜(トマトを含む)の配布会(本社、各支店の事務所)を実施することで、従業員への健康意識を高める取り組みを実施した。

 

◆全社員に体組成計を配布し、歩数計機能のあるスマホのアプリと連動させて使用することを推奨し、毎日、体組成計に乗ることで、自身のコンディションを知り、歩くこと、計ること、気づくこと、変わること、のサイクルを日常的に意識してもらえるようにすることで、健康意識の底上げ、増進に繋げている。

 

相談できる環境づくり

 

◆がん治療をしている社員への勤務上の配慮検討のために必要な情報は、社内保健スタッフ(主として産業医)が主治医と情報連携し、配慮検討に必要な情報展開を会社側(人事・総務スタッフ)に行っている。

 

◆「本人」「所属上長」「産業医・保健師」「人事・総務スタッフ」が一体となり、個々人の治療状況に応じてサポートする「仕事と治療の両立支援サポート体制」を立ち上げ、問い合わせ先をホームページやセミナー等を通じて周知している。

 

◆がんの治療状況別に、治療と仕事の両立支援制度を整理して一覧表に纏めている。本人が所属上長に相談する際や、産業医・保健師・人事・総務スタッフが両立支援サポートを実施する際に、相談しやすくスムーズなサポートができるよう、この一覧表を見ながら会話するようにしている。

 

◆社内保健スタッフ(産業医、保健師)が常駐する健康相談室を設置し、健康相談、急な体調不良時の応急対応、休憩ができる環境を整えている。

 

・2021年4月よりES HEALTH GARDENという名称でリニューアルOPENし、整体師を常駐させたり、部屋のレイアウトを一新し、庭の感覚で気軽に足を運べる雰囲気を作ることにより、より一層活用しやすい環境を整えた。

 

◆2022年度からは管理職に対して、抱える悩みを気軽に直接相談できるよう、産業医ホットラインの体制を構築した。

 

◆2022年度より在宅勤務者、自社ビル以外での勤務者も気軽に「産業医・保険師」へ健康相談できるようオンライン上で健康相談ができるよう「Teams健康相談窓口」を開設した。

  

制度

 

◆定期健康診断時のオプションとして各種がん検診の受診を推奨しており、がん検診受診者には、健康保険組合から補助金を支給している。

 

・2021年度は、健康保険組合の補助金以外に、会社独自で各種オプション検査費用の一部を補助を実施した。

 

◆仕事と治療の両立支援制度として、フレックス勤務、時間単位年休、時差出勤等の柔軟な勤務・休暇制度あり。

 

・2020年10月からは、働きながら治療を続けるニーズが高まっていることを受け、がん治療他を対象とした「治療勤務制度取扱規則」が新たに制定され、短時間勤務(7時間、6.5時間、6時間、5時間)や、在宅勤務制度が利用可能となった。

 

・2022年度は「治療勤務制度」の短日数勤務要件を緩和し、就業日数を原則4日(条件により3日も可能)とすることや、「時間単位年休制度」「家族看護休暇制度」「在宅勤務制度」の請求時間の条件撤廃、行使回数の撤廃などの要件を緩和することで、日中の通院やご家族の看護などをしやすくなる制度に改めた。

 

◆社員の健康増進を目的に、多くの社員が各施策に参加してもらえるように、各種健康経営施策への参加に対しインセンティブを付与する施策を導入した。

 

◆復職時には主治医や産業医の見解をもとに、産業医意見書を作成し、復職者の職場上長へ業務上の配慮事項について伝えている。特に就業制限は遵守していただくよう、意見書に対する受領・遵守する旨の同意を取っている。

 

その他の取り組みやエピソード

 

◆LGBTをはじめ、障がい者や病気治療中の方が、必要なときに相談しやすい風土づくりとして、日立システムズグループ当社オリジナルの「ALLYステッカー」を作成し、賛同者に配布。PCや携帯電話に貼ることで、ALLYの浸透と見える化を促進。

 

◆2020年度に本アワードシルバー賞を受賞したことで、がんを治療しながら働く従業員が「がんアライ」の活動を知り、本人より、「この活動の一助となれば」「同様に病気を抱えながら働いている方に対しても少しでも自分の状況を伝えることで励みになれば」と、自身の状況を社内に発信する提案がなされた。

 

社内広報「健康づくり通信」に本人への取材記事を掲載し、がん治療をしながら働く状況を広く知ってもらい、より良いサポートにつなげるための社内の意識変革への思いを共有した。

  

抱負

 

・罹患者に安心して働ける会社と言ってもらえるよう、制度をさらに整備していきたい。

 

・罹患者が自身の状況の発信や息抜きができるようなコミュニティを作り、悩みや思いの共有や共感、がんと就労に関する社内制度や病気に関すること等、欲している内容の情報収集が出来るような場を作っていきたい。

 

・がんと就労の取組みと並行してALLY活動を推進し、全従業員が安心して働ける環境づくりとwell-being実現へ向けた取り組みとしたい。

 

講評・コメント

 

・「治療勤務制度」の短日数勤務要件を緩和や、「時間単位年休制度」「家族看護休暇制度」「在宅勤務制度」などを改善し日中の通院やご家族の看護などをしやすくなる制度づくりをさらに進められた。

 

・若年層の婦人科検診受診率向上の為、保健師から個人ごとに乳がんモデルを用いた自己触診教育および子宮頸がんパンフレットを配布により受診意識向上や、全社員に体組成計を配布し歩数計機能のあるスマホのアプリと連動させて使用することを推奨するなど、健康への取組を強化されています。

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