がんアライアワード受賞企業の取り組み事例

   

【がんアライアワード2022ゴールド】株式会社名古屋銀行の「がんと就労」施策 - がんアライ部

【がんアライアワード2022ゴールド】株式会社名古屋銀行の「がんと就労」施策 - がんアライ部

がんアライアワード2022に寄せられた、各社の「がんと就労」への取り組みをご紹介します。

 

ゴールド受賞:株式会社名古屋銀行

業種: 金融業

従業員数: 1,865名

https://www.meigin.com/

取り組みのきっかけ

 

がんに罹患した複数の現役行員から相談窓口が分からず不安であるとの声が聞かれた。また、職場の上司からも、術後の化学療法をしながら復職した行員に対して、周囲がどのように対応していいかわからないとの相談が寄せられた。罹患者と上司双方からの相談をきっかけに、休職を含む制度や支援について罹患者本人及び家族への丁寧な周知の必要性、また入院前から職場の上司と話し合いの場を持ち、罹患者の希望と現状を共有することや、主治医や産業医からの意見を共有し、就労上における注意事項等を共有することの必要性を認識したことがきっかけ。

 

風土づくり

 

◆両立支援制度(保存休暇・欠勤・休職時の収入の保証)

・保存有休休暇制度(年次有給休暇未消化分の積み立て保存制度)最大60日間→ 14日以上の加療休務の必要がある場合に利用できる。

 

・疾病欠勤は90営業日認められ、給与も支給対象。疾病休職期間は勤務年数に応じて最大3年取得可能であり、休職中も勤務年数に応じて、一定期間5割~全額の給与支給がある。給与支給期間が終了すると、健康保険組合から傷病手当金及び付加金の支給があり、長期の療養にも対応している。

 

・時間単位有休休暇を単年度で2営業日分付与し、通院等に利用できるよう配慮している。

 

・半日有休休暇(年4日、8 回まで)半日単位で休暇取得

 

相談できる環境づくり

 

◆全行員が、年に2回、自身の状況等をイントラネット上で回答した後、上司との面談を設け、仕事状況のみならず、自身の健康や家族状況についても相談できる。また、常時各支店の所属長は人事部門スタッフへ人事報告として連絡を取り合える環境が整備されている。

 

◆イントラネットや行員手帳で治療と仕事の両立支援の取り組みについて周知し、基本方針、相談窓口、手続きの流れについて掲載している。

 

◆内科産業医他、カウンセラーや公認心理師の診療も行っているので、本人に限らず上司の人が直接窓口に相談に来られたケースもあり。

 

◆健康保険組合が外部相談窓口として契約している「ベストドクターズサービス」は、フリーダイヤルで24時間医師が常駐しており、がんと診断された時の医師の紹介や、セカンドオピニオンの為の医師を案内してくれる。

 

制度

 

◆25歳、30歳、また35歳以上の従業員に対し、希望する人は一部本人負担で人間ドックを受診可能。

・35歳以上の従業員で定期健康診断を受診した人は、全額企業負担で、がん検診(大腸便潜血・胃部レントゲン・腹部超音波)に加え、婦人科がん検診(子宮がん・乳がん)の受診を選択可能。パート従業員はがん検診のみ選択可能。

 

◆治療と仕事の両立支援コーディネーターを、人事部門、診療所、健康保険組合に1名ずつ配置し、専門的な相談に対応し、連携を取り情報共有、出来る限り本人の意思を尊重し治療をしながら継続して就労できる体制を整えている。

 

◆イントラネット上に治療と仕事の両立支援についてのサイト及びガイドブックを設置し、いつでもアクセスする事ができる為、従業員の認知拡大の為のツールとしても機能している。

 

サイト内にフローチャート、主治医意見書、両立支援プランの用紙のダウンロードが可能であり、誰でも利用しやすい環境を整備している。

 

◆復職後はリハビリ勤務の利用が可能(最長3カ月)であり、4時間就労から始め、6時間と段階を経て無理なく働き続けられるように支援している。

 

その他の取り組みやエピソード

 

◆子宮頚がんに罹患し、1度は復職したがその後状況が悪化し再度長期療養の末、亡くなってしまった。

 

亡くなる直前まで、「所属長や職場の仲間との交流を欠かしたくない」という本人の希望に応え、職場スタッフも「復職できる日を皆で待っている」と伝え続けた。願いはかなわなかったが、ご遺族から後日、「もう一度お客さんに会いたい」という気持ちと必要としてくれる職場の存在が、治療に対してのモチベーションにもなっていた、と聞く事ができた。

 

◆乳がんに罹患し、手術後放射線での治療を続けながら就労中の従業員。

 

告知を受けショックを受けながらも、どうにか休務を最小限に抑え、仕事と両立して治療していくことを本人が希望しており、主治医からの意見書を基に、両立支援プランを作成。

 

職場上司からは心配ゆえに治療に専念したほうが良いのではないかという意見もあったが、治療開始後は、2週間に1度診療所から連絡し、治療中の変化に対応して両立支援プランを見直しした。

 

現在は、支店内での情報共有、理解がスムーズに行われ、放射線療法をしながらの勤務を継続しており、主治医からは「理解のある職場ですね」との言葉を頂いた。

 

抱負

 

保健師からは「依然として、罹患していることを職場に内緒で治療をしながら勤務されている人が多いと感じている」との意見もあり、もっとオープンに話しやすい職場風土の醸成をはかりたい。

 

その為に、段階的に次のことに取組みたい。

 

①自助の場を提供

社内でガンサバイバーの人と治療中の人が交流できる場を作り、仲間で支え合い、安心感の醸成を目指したい。さらに職場のスタッフもがんを身近な疾病として理解を深め、相談しやすい風土の醸成を図りたい。

 

②交流活動の報告や治療と仕事の両立についての体験談を、イントラネットに公開。

がんに罹患しても働き続ける方の体験談が、がん治療への理解や、オープンに話せる環境が整うのではないかと考える。

 

従業員それぞれが治療と仕事の両立について理解を深め、がんに対する偏見や、恐怖心を軽減するようながんセミナーを実施し、両立している人の輪が広がっていくようにしたい。

  

講評・コメント

 

・「風土・環境・制度」と一通り揃っており、治療と仕事の両立支援コーディネーターを、人事部門、診療所、健康保険組合に1名ずつ配置されるなど、治療しながらでも働きやすい環境づくりを進められています。

 

・がん罹患社員とのやりとりのエピソードから、罹患社員それぞれの個別性に配慮して、対応を進められていることが伝わります。

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