がんアライアワード受賞企業の取り組み事例

   

【がんアライアワード2022 ゴールド】コロプラスト株式会社様の「がんと就労」施策 - がんアライ部

【がんアライアワード2022 ゴールド】コロプラスト株式会社様の「がんと就労」施策 - がんアライ部

がんアライアワード2022に寄せられた、各社の「がんと就労」への取り組みをご紹介します。

 

ゴールド受賞:コロプラスト株式会社

業種: 医療機器、装具の輸入、販売

従業員数: 約176名

https://www.coloplast.co.jp/

取り組みのきっかけ

 

・がんアライ部に参加したことを契機に他企業の取り組みからも刺激を受け、自社制度のさらなる拡充に取り組んでいる(短時間勤務制度、がん検診サポート、禁煙サポート)。がんアライ部活動からは、社会保険の案内や家族への配慮等、コミュニケーション上の工夫についてもヒントをいただいている。

 

・(2019年)がんアライ部勉強会「がん治療中の部下と上司の良い関係」に経営会議メンバー3名が参加し、両立を支援する環境作りの大切さについて理解を深めた。社内イントラネットでも報告し、感想と共にがんアライ部事務局による勉強会レポートを共有した。
これを契機に、コミュニケーションや風土作りに関するオンラインセミナーや講演等に経営会議メンバーを招待したり、共有する習慣が加速した。

 

 

・(2019年)第1回「がんアライ宣言・アワード」ゴールド受賞後、がんアライ部Webサイト「受賞企業に聞く『がんアライアワード受賞』の効果」にてコロプラストのご紹介をいただくことになり、社内で募ったところ、多くのコメントが寄せられた。「お客様や友人に社内の取り組みについて説明することができた」「誇らしく思った」等、受賞の喜びを一緒に分かち合うこととなった。

 

・(2020年1月)日立システムズ社の金森さつきさんと共に当時の人事部長が がんアライ部 第7回勉強会にて取組み事例について発表させていただいた。これを契機にさらに他企業の方とも交流が深まり、施策作りや留意点について意見交換する機会に恵まれた。

 

・社員の罹患が判明した際は、がんアライ活動を通して会社の日頃の姿勢を知ってくれていたため、安心して相談してもらうことができた。マネジャーも当該社員の心身の安定を最優先に、復帰後も支援的な対応を継続した。


半数の人が一生のうちにがんに罹患し、がん罹患者の3人に1人は就労世代である現在、周りの理解を得ながら安心して治療と両立できる環境の整備に力を入れている。数年来取り組んでいるインクルージョン&ダイバーシティ(コロプラストでは“インクルージョン”が先となります)の浸透が後押しとなっている。多様な事情やニーズを持つ社員(がん治療や不妊治療、家族の支援、学習、副業等)が自分らしい働き方を選択しながら、情熱をもってコロプラストの業務に取り組める環境を目指している。「お互い様」の感覚を共有することも大切にしている。

 

<その他: コロプラスト社の紹介>

・コロプラストはデンマークを本社とする医療用装具・治療材料メーカーで、「個人的な健康上のニーズをお持ちの方々の生活をより快適に」をミッションに活動しています。社員はバリュー「Closeness(寄り添う気持ち)、Passion(情熱)、Respect and responsibility(尊重と責任感)」を体現することが期待されています。


・コロプラスト製品をお使いくださるお客様にはがんを経験されている方も多くいらっしゃいます(ストーマ装具をお使いの方の大半が大腸がん罹患者)。このため、社員のがんに対する理解も進んでおり、温かい気持ちを持っています。オストメイト(ストーマをお持ちの方)の方々との交流も続けています。

 

風土づくり

 

◆すぐに会社を辞めなくていいと伝わる風土づくり

・これまでがんに罹患した社員について「辞めなければならない」等の選択肢は本人からも周りからも一切出たことがなく、過去の事例の積み重ねが「すぐに会社を辞めなくていい」社風となっている。

 

・がん検診補助、短時間勤務制度、時間単位有給休暇等、新制度を導入する際は、「社員が安心して働き続けられるよう制度や職場環境の整備を促進――」「各種治療や業務との両立――」等、社員に趣旨を理解してもらえるよう付記している。

 

・がんアライに関するこれまでの取り組み(制度や活動)をまとめてイントラネットに掲載している。この中でも「がんになっても安心して働けるよう、またご家族にも安心していただけるよう、環境整備を続ける」を伝えている。また、休暇制度や社会保険制度は難解と感じる社員もいる可能性があるため、「安心して活用していただくため 、人事部までご相談ください。最適な方法を確認し、一緒に相談しながら進めていきます。」と付記している。


社員からは「家族から『サポートしてもらえる環境があって心強い会社だと思う』と言ってもらえた」等の感想が寄せられている。

 

◆制度が使いやすい風土づくり

・継続的に年次有給休暇取得率を上げる活動に取り組んでおり(年次有給休暇計画付与/部門長による働き掛け/有休取得率推移イントラネット掲載/等)、安心して休暇を取得できる社風がある。毎年有休取得率は6割を超えている。

 

・「次世代育成支援対策推進法及び女性活躍推進法に基づく行動計画」についても、特定の対象者に限定するのではなく、「雇用区分に関係なく有休休暇取得率を7割以上にする」を2025年迄の達成目標として掲げ、意識的に有休取得を促進しあう声掛けを実施している。

 

・健康診断受診をサポートするための費用、休暇等の案内を毎年3月下旬にEメールで発信しており、5月末までに全員が受診完了できるよう取り組んでいる。未受診者には上司も巻き込んで催促、過去10年以上健康診断受診率100%を維持していた。健診結果には産業医が目を通し、必要な場合はフォロー面談を実施している。(2022年度には、コロナ禍の影響も少なからずあり100%の受診率に達成できなかったことから、薬業組合の年度に合わせ翌年3月末までを実施期間の目安としかつ適宜未受診社員のフォローを組織全体でフォローしている。)

 

・2019年度より「がん検診費用サポート」制度を開始(詳細は【制度】欄)。上記健康診断案内に盛り込むと共に、上司に部下全員ががん検診 を受け、精算していることを確認するよう依頼している(2022年度は約2.5割が精算)。 今後さらに浸透させ、利用率を上げていくことが課題である。

 

・休職・復職の規定や申請書、社内問い合わせ先を社内イントラネットに掲載している。

 

相談できる環境づくり

 

◆上司に仕事や治療のことを相談できる環境

・上司‐部下間のコミュニケーションは、「1on1」や日常的な対話の中で相談しやすい環境が整っている。

 

・パフォーマンスマネジメントシステムの中にも本人が望む今後のキャリアの方向性について記入する欄があり、面談の中でも働き方に対する希望を話題にしやすい仕組みがある。

 

・2022年には部下を持つマネジャーを対象に「1on1」の知識のアップデートセミナーを開催し、対話機会を通じての上司と部下のコミュニケーションについて考え、確認し合った。

 

◆人事担当が外部の医療従事者と相談する環境

・産業医とよく連携が取れており、毎月の訪問時(コロナ禍以降オンライン)に人事部が社員の健康に関して相談をしている。体調を崩した社員の産業医面談も習慣化されており、面談終了後には産業医から上司と人事部に対して就業環境上の助言が提供されている。

 

・社員が病気に罹患した際は(がんに限らず)、よりよい就業環境を確保するため、必要に応じ、本人の同意の下、上司と人事部が主治医を訪問し、相談することもある。

 

◆その他

・社員の健康のための年次有給休暇取得率向上や残業時間の抑制に経営層が一体となって長期的に取り組んでいる。ワークライフバランスや風通しのよいコミュニケーションを重視した職場づくりのため、何かあったら上司や人事部に相談する環境ができている。

 

・産業医訪問スケジュールや個別健康相談の申込み方法を社内イントラネットに掲載している。年に数回、産業医ミニレクチャーを企画、社員と産業医との接点を設けることによって、相談しやすい環境を維持している。

 

外部カウンセラーを招き、心身のウェルビーング研修を2022年度から年2回実施。体調不良の未然防止やお互いに思いやりを持った言動が出来る様、健康リタラシーを強化している。

 

制度

 

◆社員の健康増進やがんを早期発見するための取り組み

・15年以上前から健診受診時に発生する「一部負担金」を会社がサポート。検診機関窓口で各自が支払った後、社内経費精算できる仕組みを設けている(定期健診1,650円、生活習慣病3,300円、日帰人間ドック22,000円)。

 

・人間ドックを含む定期健診および再検査(1回まで)に必要とする時間を特別有給休暇扱いとしている。

 

・上記については全直雇用社員(正社員・準社員)を対象とし、毎年3月下旬にEメールで案内している(受診期間目安:4月1日~5月末/2020年度については、コロナ禍のため9月末まで延長)。

 

・経営陣が時間外勤務時間を毎月モニターしており、継続的に残業時間を削減する活動に取り組んでいる(業務分析・プロセス改善/配置転換/等)。第1回目のがんアライアワード応募時(2018年9月)の過去5年間 残業時間は41%減少 (時間管理対象者 月平均残業時間 7.1時間→4.2時間/最長月間平日残業 67時間→41時間)。さらに2019年以降は月平均2.8時間以下、最長35時間以下」を維持している(2022年度は最長47時間)。

 

・がんの早期発見を後押しするため、 2019年度より「がん検診費用サポート」制度を開始。全直雇用社員(正社員・準社員)を対象に年5,000円まで会社負担している。若年でもがんに罹患する可能性があるため、年齢制限は設けていない。制度開始にあたっては、がん検診に関する情報提供のため、「がんと検診」「女性特有のがん」をテーマに産業医によるミニレクチャーを実施し、当日の動画記録をイントラネットで共有した。

 

・がんの一因と言われる喫煙習慣を断つ支援をするため、禁煙外来費用を一人につき1回1万円まで経費精算可能とした。利用者からは「禁煙治療は高い印象があったが、会社の支援があったからトライできた」と好評を得た。

 

◆がんに罹患した際、治療を支援する制度や復職時に働きやすい制度

・フレックスタイム制度、変則勤務(1日単位)に加え、2018年に在宅勤務制度を導入。柔軟な働き方の選択肢を増やした。

 

・2018年に過去育児・介護中の社員のみに適用されていた短時間勤務制度を、がんに罹患した社員も治療や休養に使えるよう制度改定した。

 

・2019年に臨床心理士をはじめとする外部専門家によるカウンセリングサービスを開始。健康に関する悩みに保健師が対応する健康相談メールもメニューに含んでいる。

 

2020年には、社員とカウンセラーとの接点を増やして、いざという時に利用してもらいやすくするため、オンラインミニレクチャーを企画した。現在はカウンセリングサービス会社が独自に定期的に開催してくれている。

 

2020年からは、入社者に対し、入社直後に利用を促し、何かあった時の相談先の一つとして認知してもらっている。「カウンセリングのイメージが持てた」等の感想を得ることができた。


マネジャーも、部下のケアや適切なタイミングでのカウンセリング奨励をできるようにするため、定期的にカウンセリングを促している。

 

2022年にはいざという時に利用してもらいやすくするためのみならず、自分自身の心身の健康について改めて向き合い、大切にする機会として、ウェルビーングのセミナーを数回企画した。

 

・がんの治療と就労の両立を支援するために、以前より検討を進めてきた年次有給休暇の時間単位取得を2021年1月付で実現した。これにあたっては規程類の整備のほか、勤怠管理システム会社も変更した。

 

・2022年に自宅以外の会社施設以外で勤務できるよう、在宅勤務制度からリモートワーク制度へと改定し、より一層柔軟な働き方の選択肢を増やした。

 

・2022年に過去営業職や性質上所定労働時間以外の時間帯に業務上の負荷が集中する社員のみ適用されていたフレックスタイム制度を、正社員・準社員に関わらず、一部を除きフルタイム週5日勤務の社員も使えるよう制度改定した。

 

講評・コメント

 

・部下を持つマネジャーを対象に「1on1」の知識のアップデートセミナーで対話機会を通じて、上司と部下のコミュニケーションについて考える機会を作られています。

 

・自宅以外の会社施設以外で勤務できるよう、在宅勤務制度からリモートワーク制度へと改定し、柔軟な働き方の選択肢を増やしています。

 

 

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