がんアライアワード受賞企業の取り組み事例

   

【がんアライアワード2022ゴールド】株式会社オカムラの「がんと就労」施策 - がんアライ部

【がんアライアワード2022ゴールド】株式会社オカムラの「がんと就労」施策 - がんアライ部

がんアライアワード2022に寄せられた、各社の「がんと就労」への取り組みをご紹介します。

 

ゴールド受賞:株式会社オカムラ

業種: 製造業

従業員数: 3,804 名

https://www.okamura.co.jp/

取り組みのきっかけ

 

・オカムラは「従業員一人ひとりの多様性を尊重し、企業活動に関わるすべての人たちが心身共にすこやかであることがすべての基盤であると考えます。そして「Work in Life」の実現に向けて、いきいきとはたらき続けるために、心身の健康保持増進と、健全な職場環境を維持していくことを宣言します」と経営トップが健康経営宣言をしています。

 

※「Work in Life」とは「仕事も、家族や友人、趣味、休み、健康、学びなどと同じように、自分の人生の中の一つとしてとらえましょう」という考え方です。自分らしい生き方を想像し、自分らしい働き方を考えることが、「Work in Life」です。

 

・また、当社従業員の平均年齢も43.4歳と決して低くはなく、2018年3月には働き方改革推進によるシニア層活躍に向けて定年を65歳に延長したこともあり、当社にとって従業員の健康は益々の重要課題となっています。

 

・「がんは万が一ではなく二分の一」という広告の通り、しっかりがんと向き合う必要性を感じました。また、従業員数は3000人を超えるため、がんだけではなく様々な疾病を抱える従業員の支援をより一層拡げていく必要があると、健康推進室として実感しています。

 

・さらに、乳がん・子宮頸がんなどの婦人科のがんは若い世代・働き盛り世代に多く、当社の女性従業員平均年齢が38.9歳と重なっていることから、婦人科のがんについてもより一層力を入れ、婦人科健診率の向上を目指す必要があると考えます。

 

・誰しも病気を持つ当事者になるかもしれない、支える側になるかもしれない、働く時間や制限があったとしても会社を辞めることがなく、支援体制があり、寄り添う人がいて、長く働き続けられる会社であるように健康推進室として取り組みたいと感じました。

 

風土づくり

 

◆環境・風土作り

2020年4月健康推進室が設置され従業員の健康管理の徹底、健康増進に向けた取り組みや発信を積極的に行っています。産業保健スタッフ(産業医、保健師、産業カウンセラー)は健康診断、二次健診、ストレスチェック、女性の健康相談など、従業員の心身の健康に関する窓口として支援・対応をしています。また各事業所では産業医と看護師が窓口となっていますが、更に人事総務課とも連携をとり相談窓口の環境を整え、従業員の様々な支援に取り組んでいます。

 

2018年4月ダイバーシティ推進室が設置され、様々な人財がより働きやすく、能力を発揮できる環境・風土づくりをめざしています。また育児・介護・治療などで働く時間・場所の制約がある従業員がめざすキャリアを実現できるよう、多様な働き方の環境整備を継続的に進めています。

 

◆「ピンクリボン(乳がん予防)月間」・「子宮頸がん予防月間」 運動

10月のピンクリボン月間に合わせて、乳がん予防・啓発のためのポスター、動画、漫画を全社に向けて広報しています。また、「婦人科健診受診率の測定」「子宮頸がん予防HPVセルフチェックキットの希望者の把握」を目的とした婦人科健診に関するアンケートも実施しています。11月には子宮頸がん啓発月間運動を行い、施策の一つにHPVセルフチェックキットの導入を検討しています。これらの運動を通し、女性のがんに関する正しい知識を身につけて頂けるような健康教育や情報発信とともに、婦人科健診の重要性を理解して頂けるよう取り組みを進めています。

 

◆健康教育

毎年健康教育に力を入れており、今年度「健康月間」と称し「春の健康月間」では「喫煙・禁煙」に関するeラーニングを作成、全従業員向けに発信しました。受動喫煙、サードハンドスモークにも触れ自分含めた他の方にもがんや大きな病気の原因になり得ることを伝えています。また禁煙セミナーを開催し、本社・販売系だけでなく喫煙率の高い工場においても禁煙へのきっかけづくりを行うとともに、タバコを吸わない方にもリテラシー向上を目指して取り組みを継続中です。

 

また「秋の健康月間」では「生活習慣病」に注目し、代表的な疾患名や症状、予防や運動や食生活についてeラーニングを作成、発信しています。

 

◆健康コラム、健康便りの発信

毎月作成・発信し、従業員のフィジカル・メンタル面の「健康理解」を深め、「健康意識」の向上を目指しています。

 

◆身体の健康診断

「健康障害ゼロ!」を目標に、従業員の心身の健康維持・増進に向けた取り組みを展開しています。身体の件康管理として、法定健診に加え生活習慣病健診を実施し、二次検診が必要な場合は、産業医と連携し受診を促しています。二次検診終了後に就業上の制限の有無の判定(=就業判定)を産業医が行い、判定結果を所属長に伝え適切な対応につなげています。

 

また、健康診断は毎年検査項目の見直しを行い、健康保険組合と連携し人間ドック補助利用のご案内も実施しています。また今年度より婦人科健診の見直しを行い受診年齢を拡大しました。

 

◆女性特有の疾病予防

昨年、婦人科健診受診率や次年度施策へ繋げるために「婦人科健診に関するアンケート」を実施しました。その結果、婦人科健診対象外であった34歳以下の女性従業員からは「婦人科健診を受けるチャンスがあれば受診するか」との問いに94.6%が「受診する」と回答がありました。その結果を受け今年度から婦人科健診の年齢制限を撤廃し、どの年代の方にも受診頂けるように婦人科健診の充実を図りました。

 

現在、ピンクリボン月間・子宮頸がん予防月間運動に合わせて、今年度の婦人科健診アンケートを実施中です。アンケート結果を分析し、今後の施策へ活かします。

 

◆疾病予防対策

健康保険組合と連携し人間ドック・婦人科健診補助制度、特定保健指導、オンライン禁煙プログラムを実施しています。インフルエンザ予防接種の補助金支給を通して、従業員のインフルエンザ発症や重症化予防をしています。

 

◆心の健康診断

心の健康管理として1年に1回ストレスチェックを実施。受検後、高ストレス者には産業医との面談を勧め、自身の心の状態の把握、主治医による継続的なフォローの必要性の判断などにつなげています。

 

◆心と身体のリフレッシュ

労使一体となり年次有給休暇の計画的な取得を促すとともに、従業員の健康増進や余暇活動等の充実を目的とし、連続有給休暇の取得を促進しています。オカムラの2021年度の有給休暇の平均取得日数は11.4日、取得率は61.4%でした!あわせて、従業員が心身のリフレッシュと自己形成を図る機会として、一定の勤続年数が経過した従業員を対象としたリフレッシュ休暇制度を導入しています。

 

◆所属長向け「ラインケア研修」の実施

昨年度初めて所属長向け「ラインケア研修」を実施しました。所属長のメンタルヘルスリテラシー向上を目指していくことや、心身の状態が良好な職場を築くスキルを習得すること、安全配慮義務を理解することを目的として実施しています。研修の中でメンタルヘルス教育だけでなく、コミュニケーション機会を増やしていく事の大切さや、みんなが安心して健康に働いていける環境を作ることの重要性を伝えています。

 

今年度は新任所属長、生産事業所の課長職(二次考課者)に向けてラインケア研修を12月実施します。

 

◆女性のヘルスケアセミナーの実施

昨年度、社内でも多くの女性が日頃から女性特有の健康課題(月経トラブル・更年期障害)を抱えながら生活していることや人によって症状や程度は様々でも、体調不良によりパフォーマンスに何かしらの影響を与えていることに注目し女性のヘルスケアセミナーを開催しました。女性特有の健康課題の知識を身につけることや、触れずらい話題によるコミュニケーション不足の解消、安心して健康に働くことができる職場づくりを目的として実施しましたが、年齢、性別、所属、地域問わず、様々な方々が参加しました。

 

来年度は管理職へ向けての女性のヘルスケア研修の形で実施を予定しています。

 

相談できる環境づくり

 

◆社内相談窓口

心と身体の相談窓口として健康推進室を設置しており、悩みを持つ当事者や上長の方々の相談窓口となっています。産業医含めた専門職、産業スタッフも連携し相談ルートの整備も行っています。また気軽に相談できるように広報等にも取り組んでいます。

 

◆社外相談窓口

自分自身や家族の身体の不調や不安を相談できるように、チャットやTV電話を使って匿名で医師に直接相談ができる無料相談窓口を提供しています。

 

◆職場面談

月に一度1on1を実施し、上司と部下の間で情報交換やコミュニケーションを育める環境をつくっています。

 

◆社内・社外相談窓口のアナウンスの徹底

心身の体調不良や健康相談を主として、健康コラム、ラインケア研修、女性のヘルスケアセミナーの中でも必ず、社内・社外の相談窓口について触れ、アナウンスを行い、従業員が健康で働きやすい環境作りを目指しています。

 

制度

 

◆傷病休暇制度

オカムラでは、従業員が病後の療養期間中も健康回復に専念できるよう、傷病休暇制度を導入しています。これは、年次有給休暇のうち次年度に繰り越しができなかった日数を、有給休暇がなくなった場合に、最大20日間まで傷病を事由として利用できるものです。

 

◆復職制度

復職の際にはリハビリ出社制度を設けており、休職から復職する段階で再発を防止するため、徐々に職場・仕事に慣れるための短時間勤務で業務への復帰にともなう負担の軽減に努めています。

 

◆フレックスタイム制・時間単位有給休暇・シェアオフィス・サテライトオフィスの利用

介護や治療との両立含め、様々な目的で活用が可能です。

 

◆在宅勤務制度

今年度10月より「業務に合わせて効率的に働くこと」を目的としてテレワークに関する規定が新設されました。こちらの制度を運用する形で治療を続けながら就労継続できる体制を整えることが可能です。

 

◆傷病手当金

病気・怪我などで会社を休み給料が支払われない時、生活保障のために支給されます。

(1年6カ月限度で95%、それ以降復職まで50%が支給)

 

◆長期入院見舞金

病気・怪我などで、2週間以上連続して入院した場合に支給されます。(180日限度で1日3,000円支給)

 

その他の取り組みやエピソード

 

◆エピソード

今ほど制度が整っていない10数年前、30代でがんに罹患した方がおり、治療・闘病・復帰する姿を見てきましたが、制度を上回る部署の方々の協力や上司の方の配慮の中でがんと仕事を両立してきた友人の姿がありました。治療と仕事を両立させていくためには本人の身体の状態、精神状態や、気持ちのあり方に左右されることも多々あるかと思いますが、「気持ち」を伝えられる環境や、「理解者」がいるかいないかがとても重要に思えました。本人を支える人や環境があると、不安は抱えながらも前向きになれるのかもしれない、と感じました。

 

会社の制度して明確にされていないことでも、復帰後の配属部署や働き方などについては、状況によっての特例措置とし、ひとり一人柔軟に対応しています。

 

◆セルフケアの取り組み

オカムラでは様々な健康施策を行っておりますが、その中でも一番重要で大切な「セルフケア」の取り組みに力を入れています。自分自身を知ること、自分でケアを心がけることを促し、そのサポートとなるようなツールを作り、従業員へ発信し続けています。

 

◆オカムラビジネスサポート 保険営業部の取り組み

今年度「がん・医療・介護」に関するコラムや情報が毎月更新される情報サイトをオープンし、従業員へ広報しています。また保険営業部のメンバー5名「神奈川県がん対策推進員」として県が指定する研修の受講し認定を受けています。今後、がんに関する正しい知識の普及などを更に目指し活動に力を入れていきます。

 

抱負

 

オカムラでは婦人科健診受診率向上を目指し、毎年10月のピンクリボン月間、11月の子宮頸がん予防月間に合わせて、婦人科健診のアンケートを毎年実施し「オカムラの婦人科健診受診率」の推移を継続的にキャッチしていきたいと思っています。今期目標は乳がん健診、子宮頸がん検診の受診率30%を目指し、いずれは100%受診を目指しています。

 

また毎年健康診断の見直しを行っている為、来年度も健康診断の改善を実施していきます。

 

厚生労働省等が推進している年間の健康に関する取り組みイベントを活用し月ごとに様々な疾病予防に取り組む施策を来期から検討しています。

 

講評・コメント

 

・健康教育として「喫煙・禁煙」に関するeラーニングを全従業員向けに発信や、新任所属長、生産事業所の課長職(二次考課者)に向けてラインケア研修実施(予定)など推進されています。

 

・女性向けの取組が充実れており、アンケート取得し施策へ活かす姿勢など、更なる制度運用を期待しています。

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