がんアライアワード受賞企業の取り組み事例

   

【がんアライアワード2022 シルバー】株式会社ZINEの「がんと就労」施策 - がんアライ部

【がんアライアワード2022 シルバー】株式会社ZINEの「がんと就労」施策 - がんアライ部

 

がんアライアワード2022に寄せられた、各社の「がんと就労」への取り組みをご紹介します。

 

シルバー受賞:株式会社ZINE

業種:Webサービス運営(オンラインがん相談サービス CancerWith)

従業員数: 7名

https://zineinc.co.jp/

取り組みのきっかけ

 

・代表取締役CEO 仁田坂ががんアライであることを意識したきっかけ

代表者自身が「がんが治る水を作る機械(80万円)を祖母が購入」「母の乳がん罹患」といった体験を経て、がんに対する社会課題を認識。CancerWithの立ち上げに至りました。また、高校の恩師が被差別部落集落のアライとして活動に従事していたことに影響を受け、がん患者のみならず、女性・男性などの性差、身体障害の有無、人種、国籍などの文化的背景、被差別部落集落出身であるなど出自に依らずがんと共存し仕事ができる組織を目指すようになりました。

 

・取締役COO 二宮ががんアライであることを意識したきっかけ

28歳で乳がんに罹患し、治療のため8ヶ月の休職をしました。当時の会社は、休職から復職まで柔軟に対応してくれた上、復職後もがんであることを問わず職務内容をフラットに評価されました。それによって、休職によって一瞬だけ途切れたキャリアもすぐに元に戻り、現在に至るまで自信を持って仕事に取り組んでいます。しかし多くの同じような病気の方たちと知り合う中で、そういった体験は貴重であると気づきました。若くしてもがんに罹患してもキャリアは継続し、望む仕事をできるということを、取締役という立場でより多くの方々に伝えていきたいと思います。

 

・広報・コミュニティマネージャー・看護師 堀川ががんアライであることを意識したきっかけ

看護師として病院で勤務している時には、がんを患い治療が必要である状態の患者様と関わる機会が多かったため、患者様の仕事、生活の支援というものに費やす時間が少なかったと感じています。株式会社ZINEに入社してから、病院勤務時代は看護師として患者様の治療期間の短時間しか見えていなかった、ということに気づきました。がん患者様は治療前後、そして治療中にも生活、仕事、家族がありその比率はとても大きいのです。その生活や仕事をどのようにしたらベストな形で支援できるか、考え、チームと共有し、そして実行していきたいと思います。

 

風土づくり

 

◆「がんにかかわるすべての人の本質的な悩みに寄り添い、自分らしく生きる世界をつくる」をミッションに掲げる株式会社ZINEは、がんのアライであることはもとより、がんに関わらず差別や偏見なく働ける職場づくりと、ダイバーシティとインクルーシブの文化醸成に取り組んでいます。これは、がん患者のみならず、性差、障害の有無、人種、国籍などの文化的背景や出自に依らず、一律です。

 

◆取締役3名全員が「がん医療ネットワークナビゲーター」取得

2021年の「がんアライ宣言」で掲げ、予定通り遂行いたしました。経営陣にはがん罹患当事者、がん患者家族もいますので、元々のがんに対する理解がある上、がん医療への知識を深めています。

 

◆「AYA week 2022」協賛・協力

2022年3月に開催されたAYA week 2022では取締役COO二宮が主体となり複数のイベントを実施しました。弊社顧問である日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科医勝俣医師をはじめ、多田雄真先生(大阪国際医療センター血液内科医AYA week 2022実行委員長)、原田忠さん(資生堂トップヘアメイクアップアーティスト)、大森優斗さん(アメフト元日本代表、骨肉腫サバイバー)、宋美玄先生(産婦人科医)、麻美ゆまさん(タレント、境界性悪性卵巣腫瘍体験者)へ参加いただきTwitter, YouTubeでのイベント、ブログでの情報発信に注力いたしました。医師による回答、アピアランスケアに関する課題や解決方法、恋愛や結婚や性に関する本音のトークなどを行い、AYA世代がん患者の悩みや不安へ、表立って言えない悩みに寄り添ったイベント実施いたしました。大変ありがたいことに患者様からの高評価を頂いております。

 

なお、来年開催予定のAYA week 2023は、二宮が実行委員として参加しています。

 

◆がん罹患経験者、オンラインがん相談サービス運営者として大阪大学で講演

取締役COO二宮ががん罹患経験者、オンラインがん相談サービス運営者として、がん専門医療人材(がんプロフェッショナル)養成プラン受講者対象に講義を行いました。がん罹患者目線とオンラインがん相談サービス運営者の二つの目線で講義を行い、主催者、受講者より好評を得ております。

 

相談できる環境づくり

 

◆がん罹患経験、支援経験のあるスタッフ増員

担当者・広報でありアドバイザー看護師堀川は以前病院でがん医療に従事しておりました。その他スタッフにも施設で支援経験者やがん罹患経験者、がん患者家族などが増員しました。

 

◆タイムゾーンが異なるスタッフと働くことで得たこと

「抗がん剤治療を行った数日間体調が悪いけど、体調が良い時には働きたい」「放射線治療のために自分の時間に合わせた勤務時間が欲しい」など、本人の希望を尊重できる仕組みを実現するための準備期間として、タイムゾーン異なるスタッフと働く経験を1年半積みました。その経験より今後スタッフのキャリアや病気、介護との両立にも活用できると考えております。

 

制度

 

◆フルリモート制度

がん治療を続けながら勤務を希望する社員が現れた場合、コミュニケーションの質に違いが出てしまうため、一律でコミュニケーションの基本を非同期コミュニケーションにすることを選択しています。

 

◆WEEKLY ZATSUDAN の開催

フルリモート制度で問題となっているコミュニケーションの問題、タイムゾーンの異なるスタッフ間コミュニケーションの不足を解消するために、ミーティング以外で週一度雑談会を始めました。短時間ながらもスタッフ間コミュニケーションを行うことで、信頼関係の構築、相談しやすい環境づくりを目指しています。

 

◆タイムゾーンの異なるスタッフの採用

弊社はフルリモートを実現しておりますので、東京、福岡、台湾、カリブ海という遠隔地で勤務しています。タイムゾーンが異なるスタッフと働くことに慣れることで、「当たり前」をなくします。治療支援、休職、復職時に働きやすくなる土台作りを行っています。

 

その他の取り組みやエピソード

 

がん関連の業種であるため、スタッフ全員ががんに対するリテラシーが高いという社風があります。弊社のサービスではがん罹患当事者だけでなく、がん患者家族の相談も受けており、スタッフの家族ががん患者となった時にも相談できる環境にあります。がん患者とは本人だけでなく、家族もケアを受けるべき対象です。


実は去年、担当者・堀川の母親が子宮体癌となり、個人事業主である母親の医療保険について、弊社の社会保険労務士へ相談をしました。カリブ海在住である私はコロナ禍で帰国が難しい中、母よりがんの罹患を2週間後に手術をするという形で報告を受けました。がん関連業種で働く看護師であり、状態を聞き大丈夫だとわかっていながらも、家族の気持ちとなるととても心配で、不安で、もどかしい気持ちでいっぱいでした。そんな中、知識を備えた信頼できる相手に母親の相談をできる環境であったこと、がん患者家族として、とても感謝しています。

 

抱負

 

今年度の大きな成果として、住友生命相互保険会社と提携し付帯サービスとしてのがん相談サービスの導入がありました。今後はがん相談サービスを自治体、病院と連携し両立支援の支援を展開し、より多くの方々にオンラインがん相談を認知・利用していただきたいと考えております。社内の環境を整えていくことはもちろん、好評であった教育系の教壇、企業への両立支援の講義などのがんと就労を課題としてた情報発信活動を増やして参ります。

 

講評・コメント 

 

・がん罹患経験、支援経験のあるスタッフ増員され、がんと就労に関する環境づくりが柔軟に進められています。

 

・フルリモート実現により環境が異なる社員と働くことで「当たり前」をなくし、柔軟に対応してもらえる期待が持てます。

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