がんアライアワード受賞企業の取り組み事例

   

【がんアライアワード2020 ゴールド】株式会社日立システムズの「がんと就労」施策 - がんアライ部

【がんアライアワード2020 ゴールド】株式会社日立システムズの「がんと就労」施策 - がんアライ部

がんアライアワード2020に寄せられた、各社の「がんと就労」への取り組みをご紹介します。

 

ゴールド受賞:株式会社 日立システムズ

事業内容:システム構築事業、システム運用・監視・保守事業、ネットワークサービス事業、情報関連機器・ソフトウェアの販売と開発

従業員数:9,761人(2020年3月31日現在)

ウェブサイト:https://www.hitachi-systems.com/

取り組みのきっかけやエピソード

 

・社内のメンバーががんに罹患。病気が発覚し、今後の治療や仕事のことで不安に思っていたところ、同じ病気の体験者に相談にのってもらえたことで不安が解消され、現在は治療と仕事を両立して活躍している。

 

・そのメンバーから、「自分自身の経験を生かして、がんの早期発見・早期治療の大切さを伝え、がんに罹患しても安心して働きつづけられる制度やサポート体制があることを伝えたい」という申し出があり、健康経営・ダイバーシティ部門の担当者がこれに共感して、取り組みを開始した。

 

・2020年1月のがんアライ部勉強会で、弊社の取り組み事例を発表する機会をいただき、参加企業の皆さまと、取り組み内容や苦労点・課題等について情報交換できたことは、今後の活動への大きな励みになった。

 

・がんアライ部アワードで2年連続「ゴールド」賞をいただき、経営幹部が社内外にメッセージを発信することで、がんと就労に対する職場の理解がより一層進んだ。また、社外メディア等からの取材も増え、記事を掲載いただくことで、社員やご家族、他企業からの問合せも増え、「がんと就労」への社会的な機運の高まりを感じている。

 

<参考:インタビュー掲載記事>

2020年2月 ネクストリボン がんとの共生社会を目指して(朝日新聞デジタル掲載)

https://www.asahi.com/ads/nextribbon/report/hitachi_systems/

2020年3月 ヘルスUP日経Gooday30+ がんになっても働き続けたい(日経電子版掲載)  

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO56363550U0A300C2000000?channel=DF140920160927&style=1

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO56371590U0A300C2000000?channel=DF140920160927

 

・LGBTをはじめ、障がい者や病気治療中の方が、必要なときに相談しやすい風土づくりとして、当社オリジナルの「ALLYステッカー」を作成し、賛同者に配布。PCや携帯電話に貼ることで、ALLYの浸透と見える化を促進。

 

・2020年10月に看護大学生の学生実習を受け入れ、教育メニューの中で「がん治療と仕事の両立」取り組みについて事例紹介を実施した。

 

風土づくり

 

◆定期健康診断の申し込み時期に合わせ、各年齢・性別に応じて受診できるがん検診メニューと補助申請方法の案内メールを全社員に発信するなど、検診受診率の向上に取り組んでいる。

 

◆定期健康診断やがん検診で精密検査の指示を受けた社員には保健師がフォローしている。また、管理職研修の中で、保健師から健康に関する講話を実施するなど、保健師の活動を社内に周知することで、がんに限らず気になることや困ったときには保健師に相談しやすい風土づくりをすすめている。

 

◆2017年11月から、全国28か所で「がんと就労を考える:がん予防と早期発見セミナー」を開催し、これまでに700名以上が参加。 

・乳がん・食道がんを経験された日立グループ社員を講師にむかえ、検診・発見から治療・仕事の両立に至るまでの実体験談や、治療と仕事を両立する上で実際に利用した制度・工夫点などを伝えることで、自分や家族の健康について自分事として考えていただく機会としている。

 

・人事・総務スタッフや保健師からは、がんに罹患したときに使える会社制度や、がん検診メニューと補助金制度、仕事と治療の両立支援サポート体制等の説明を行い、がんに罹患しても相談しやすい風土づくりをめざしている。

 

・また、2019年7月からは、がんセミナーに合わせて「がんになっても安心して働ける職場づくり」座談会を開催。がんに罹患したら、どうやって治療と仕事を両立し、あるいは職場としてサポートができるのか?について参加者どうしで対話する機会としている。

 

◆2019年12月に、労働組合との共同開催で、「治療と仕事を両立できる社会の実現にむけて」講演会を開催。

・順天堂大学医学部公衆衛生学講座准教授 遠藤源樹氏を講師にむかえ、「がん治療」と仕事の両立に関する正しい理解や、職場での配慮事項について講演いただいた。

 

・参加した管理職からは「事例性に基づく職場の配慮事項や、職場でやってはいけないことの説明が具体的で、大変参考になった」といった感想が寄せられた。講演レポートや参加者の感想を全社公開し、治療と仕事を両立できる風土づくりにつなげている。

 

相談できる環境づくり

 

◆がん治療をしている社員への勤務上の配慮検討のために必要な情報は、社内保健スタッフ(主として産業医)が主治医と情報連携し、配慮検討に必要な情報展開を会社側(人事・総務スタッフ)に行っている。

 

◆「本人」「所属上長」「産業医・保健師」「人事・総務スタッフ」が一体となり、個々人の治療状況に応じてサポートする「仕事と治療の両立支援サポート体制」を立ち上げ、ホームページやセミナー等を通じて周知している。

 

◆がんの治療状況別に、治療と仕事の両立支援制度を整理して一覧表に纏めた。

・本人が所属上長に相談する際や、産業医・保健師・人事・総務スタッフが両立支援サポートを実施する際に、この一覧表を見ながら会話することで、相談しやすい環境づくりやスムーズなサポートができるよう、工夫した。

 

◆2019年12月の全社職場ミーティングで「治療と仕事の両立」をテーマに取り上げ、管理職が推進役となって、がんと就労に関する情報や社内制度に関する教育を実施。

・職場メンバと「治療しながら働き続けるために職場ではどんなサポートができるか」を語り合ってもらった。

 

・教育資料には、厚生労働省の「治療と仕事の両立支援ナビ」に掲載されている、会長島耕作のメッセージ(漫画)を引用したことで、多くの方に、がんを身近なものとして捉えてもらうことができた。

 

・また、「がんになっても働き続けられる制度があることを知って安心した」「がんは身近な病気であり、お互い様の気持ちで職場全体でサポートしていきたい」といった意見が多数寄せられた。

 

制度・配慮

 

◆定期健康診断時のオプションとして各種がん検診の受診を推奨しており、がん検診受診者には、健康保険組合から補助金を支給している。

 

◆2018年度からは毎年、新入社員の入社時健診に胃がんなどを引き起こす原因となるピロリ菌検査を取り入れることで、胃がん発症の予防につなげている。2019年度からは、肝臓がんの主な原因である肝炎ウイルスの検査も、同じく入社時健診に取り入れている。

 

◆仕事と治療の両立支援制度として、フレックス勤務、時間単位年休、時差出勤等の柔軟な勤務・休暇制度あり。

・2020年10月からは、働きながら治療を続けるニーズが高まっていることを受け、がん治療他を対象とした「治療勤務制度取扱規則」が新たに制定され、短時間勤務(7時間、6.5時間、6時間、5時間)や、在宅勤務制度を利用可能となった。

 

新型コロナウィルスの感染拡大による影響に応じて新しく始めた「がんと就労」の取り組み等に関するエピソード

 

・在宅勤務中でも当事者が不安にならないよう、社内イントラ上に「治療と仕事の両立支援」ホームページを開設して関連情報を掲載するとともに、パソコン起動時のポップアップメッセージやメールマガジン等を利用して、プッシュ型の情報発信をおこなっている

 

・新型コロナウィルス感染拡大防止のため、2021年3月までは原則在宅勤務となったことから、対面による集合型のセミナーや座談会の開催が困難となった。このため、オンラインによるセミナーや、当事者が情報交換できる場などを検討中である。自社のみでなく、同様のニーズをもった企業と連携し、オンラインセミナーや座談会などを実施できたらと考えている。 

 

講評・コメント

 

厚生労働省の「治療と仕事の両立支援ナビ」に掲載されている会長島耕作のメッセージ(漫画)等の外部のリソースもうまく活用することで、教育効果を高めています。
「ALLYステッカー」を作成することで、必要な人が必要なときに相談しやすい風土を見える化されるなど、温かい思いが伝わってくる施策も多く実施されています。

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