がんアライアワード受賞企業の取り組み事例

   

【がんアライアワード2020 ゴールド】大鵬薬品工業株式会社の「がんと就労」施策  

【がんアライアワード2020 ゴールド】大鵬薬品工業株式会社の「がんと就労」施策   

がんアライアワード2020に寄せられた、各社の「がんと就労」への取り組みをご紹介します。

 

ゴールド受賞:大鵬薬品工業株式会社

事業内容:医薬品、医薬部外品、医療機器、食料品、日用品雑貨などの製造、販売及び輸出入

従業員数:2337人(2019年12月31日現在)

ウェブサイト:https://www.taiho.co.jp/

取り組みのきっかけやエピソード

 

・弊社は抗がん剤を製造する生命関連企業であるため、がんやその他の病に罹患した社員を温かく支援する風土があり、2000年以前から既にがんに罹患した社員に対し個別対応を実施していた。国内でのがん患者の増加に伴い、2013年に就業規則を改定した頃から就労支援に力を入れ始め、2016年に東京都「がん患者の治療と仕事の両立への優良な取組を行う企業表彰」受賞後、相談の充実、早期発見・予防対策の強化、支援ツール作製、社内外への発信等、さらなる発展を遂げた。

 

・2019年1月に人事制度を刷新したが、①個々の働き方の多様性を勘案する ②がんばる社員に報いる ③大鵬の良き文化・強みを活かす の3点を掲げ、成長し続けるプロフェッショナルの育成を重視し、がんやその他の病気で治療中の社員も、やりがい、働きがいを感じながらキャリア形成が実現する仕組みになっている。

 

・広報と人事が共同で作成した、がんに関連した情報をまとめた社員向けの総合ポータルサイト「C-Guide Portal」には、がんをはじめ、病気になった際に役立つ情報、病気にならないための予防、早期発見に関する情報、社員の体験記、社内で実施したがんに関するイベント記録等が記載されている。C-Guide Portal は主に次の3パートから成る。

 

1.仕事と治療の両立支援

本人、上司、同僚の立場で ①がん診断時 ②休職中 ③復職時 ④復職後 それぞれの段階でどのように対応し、何に注意すべきか、また家族ががんになった場合に利用できる制度等についてまとめた 「がんに罹患した社員の就労支援ガイド」(WEB冊子)、 病気になった時に役立つ制度やサービスの概要を、状況別、段階別に詳しくまとめた 「ライフイベント支援ガイド」(社内イントラネット)、その他、病気に罹患した時に利用できる制度、相談窓口についての情報を掲載。

 

2.体験の共有 

社員の家族や身近な人、または社員自身のがん体験記を紹介。がん患者の家族として、また患者本人として治療や闘病生活の現実(リアル)を体験し、新たに知ったこと、気づいたこと等を社員と共有することで、がんに対する認識を深めるだけでなく当事者意識を高め、抗がん剤メーカーで働く意義を再認識することにもなり、仕事のやりがいやモチベーションアップにつながっている。

 

3.予防・早期発見

がん予防についての情報、健康診断・人間ドック受診の案内など、予防と早期発見につながる様々な情報を紹介。近年は会社として卒煙への取り組みを実施しており、喫煙と健康に関する情報、卒煙成功者の体験談を掲載。「2023年喫煙率ゼロ宣言」のもと、今後は啓発活動に加えて、オンライン禁煙外来・禁煙外来受診の費用補助をはじめとした、より積極的な支援策を実施し、卒煙希望者を支援する。

 

・大鵬のがん就労支援に対する取り組みを、これから活動を始めようとする企業に紹介したり、既に実践している企業や団体等と情報を共有し、社会全体の活性化に貢献するような機会が増えてきた。弊社内だけでなく、大塚グループ会社の衛生委員会で、産業医療職、人事、総務関係者に向けて私共の取り組みを話し、グループ共通の社内報で情報発信をする等、まずは身近なところから、理解、協力を得た。社外に向けては、厚生労働省主催の治療と仕事の両立支援シンポジウムで他社の人事担当者を対象に私共の活動を紹介したり、弊社ホームページで取り組みを掲載するなど、がん患者の就労支援は大鵬の特徴のひとつであり、会社全体で取り組んでいることを周囲に知らせると共に、私たち自身も自覚するよう努めた。

 

・現在、新社屋建設中で、来年完成予定だが、新しい建物はダイバーシティの面で考慮された部分がいくつかみられる。がん患者への配慮の例として、誰でもトイレの設置、がん患者社員用の設備の準備を予定している。

 

・30歳以上の社員は、会社指定の期間に人間ドックを受診すると、6万円を上限に健康保険組合と会社の補助により無料になる。がん罹患のリスクが高まる40歳以上に対しては、受診率には目標値を定めて積極的な受診を推奨している。人間ドック受診の際、半日分までは勤務時間として扱うこととしている。その結果、40才以上の人間ドック受診率は2017年57%から2019年70%まで上昇した。

 

土づくり

 

◆大鵬薬品は 「私たちは人びとの健康を高め 満ち足りた笑顔あふれる 社会づくりに貢献します。」という企業理念のもと、病を克服するために薬を希望する患者さん・ご家族、患者さんのために最善の治療を模索する医療関係者等、画期的な新薬を心待ちにする人びとの勇気となり、少しでも力となれるよう、各自業務に取り組んでいる。

 

◆2017年 「この企業理念を実現するために、社員一人一人が心身ともに健康で活き活きと自由闊達に働ける職場環境の整備に、組織全体で取り組むことを宣言します。」 と健康宣言を行った。社員一人一人が心身ともに健康で活き活きと自由闊達に働けることが、生産性や業績の向上、イノベーション、社会への貢献につながると考え、全社一丸となって健康増進活動を実施している。

 

◆会社にとって大切な「人財」である社員が、がんやその他の病気に罹患しても、離職することなく、治療しながら安心して働き続けられる職場をめざし、社内制度の充実、相談体制の整備、啓発活動、社員やその家族のQOL向上につとめている。

 

相談できる環境づくり

 

◆健康面、メンタル面のサポート

・産業看護職によるケアおよび復職後のフォローアップ  

・産業医面談 (本人、産業医・看護職・人事)

・休職時、復職時に三者面談 (本人、主治医、会社側)

 

◆個別相談

・人事ヒアリング: 人事部担当者が、仕事の悩みや治療中の働き方等を直接聴く。

 

・自己申告制度: 会社への要望、個人的事情など伝えたい事がある場合、24時間WEBで申請可能。

 

・キャリア相談室: 社内の産業カウンセラー、キャリアコンサルタント有資格者が対応。

 

・専門相談員によるヒアリング: 経験を積んだ専門相談員が、部門ごと、全社員にヒアリングを実施。

 

◆その他

・人事部内に 人事スタッフに加えて産業医、保健師、看護師、産業カウンセラー、キャリアコンサルタントで構成する専門チームを設置し、必要に応じて対応している。

 

・病気に罹患した本人だけでなく、上司、同僚へのサポートも重視、必要であれば家族の相談も実施。

 

・日本産業カウンセラー協会「がん治療と就労サポーター」認定取得の人事部員が多数存在。

 

・これまで実施していた対面相談や電話による相談に加え、メールやWEBを利用した相談を増やし、遠隔地にいる社員、時間制限のある社員等に対しても相談しやすい体制を整備。

 

・社内イントラ以外、研修、部会など社員が大勢集まる機会に相談窓口を紹介し、社員への周知を図っている。

 

度・配慮

 

がんのみに特化した制度ではなく、その他の病気に罹患した際にも利用できる制度となっている。

 

半日有給休暇: 1年につき12日分を半分(24回分)に分割して請求可能。

 

積立有給休暇: 消滅する有給休暇のうち失効日を迎える度に10日分繰り越せ、最大50日積立可能。業務外の私傷病(がんを含む)のため連続5日以上の休業を必要とする時に請求できる。

 

カムバックパス制度: 結婚、出産、育児、介護、配偶者の転勤、私事都合による留学、がんや国が指定する難治性疾患の罹患等やむを得ない理由で退職した社員が3年以内に再雇用で復職可能とする制度。

 

がん罹患者の休業期間延長・取得回数の制限をなくす:休職中の社員は原則、復職後6ヵ月間の中で再度 同一事由で休職する場合の休職期間は 復職前の休職期間の残期間としているが、がんに罹患し復職した社員が6ヵ月経たないで再度がんで休職する場合、休職期間はリセットされる。

 

リモートワーク: 所属する事業場の勤務場所を離れ、自宅等で業務に従事。業務の効率・生産性の向上、通勤時間が省けることに伴う拘束時間の軽減と勤労意欲の向上、職場と住居の接近による社員の精神面のゆとりの創造を目的とする。最低週1回は出社とするが、病気など特別な事由がある場合は配慮する。

 

フレックスタイム制: 10:00-15:00 をコアタイムとし、6:00-10:00 および 15:00-20:00 は出退勤時間を選択することが可能。

 

コース変更: 年に1回 転居を伴う異動のある「総合職」と、転居を伴う異動のない「地域限定総合職」双方向での変更の申し出ができ、子育て、介護、病気治療などその時々の状況に合わせた働き方ができる。

 

家族の介護: 家族が病気になり要介護状態になった場合、介護休業は法定を上回る366日まで取得可能。また介護休業中の社会保険料は会社が全額負担。

 

新型コロナウィルスの感染拡大による影響に応じて新しく始めた「がんと就労」の取り組み等に関するエピソード

 

・これまでの在宅勤務制度が新しくリモートワークに変わり、勤務場所、勤務時間、勤務日などより柔軟になり、働きやすくなった。慢性疾患やがんなどの疾患の社員は、産業医の意見に基づき、就業上の配慮事項含め、人事部の承認を得られれば、リモートワークで働くことが可能となり、通勤での感染や通院の時間の心配が軽減された。

 

・WEBを使用しての会議、面談が増え、社員も使いこなせるようになったので、これまで遠方で連絡しづらかった社員への面談が確実に実施可能となった。病気についての相談も、従来の対面の他、電話、WEBと選択肢が増えたことで、相談しやすくなった。

 

・営業職(MR)を対象に毎月実施している継続教育の一環として、「がんと共生する社会の実現のために、がん患者さんをどう支援できるか」 というテーマの勉強会を実施した。また、グループディスカッションでは、患者、その上司、同僚と役割を決め、病気診断直後、休職前、復職時の状況を考えてもらった。

 

講評・コメント

 

建設中の新社屋ではがん患者への配慮を形にして、誰でもトイレの設置、がん患者社員用の設備の準備を予定されていらっしゃいます。
また、がん就労支援に対する取り組みを、これから活動を始めようとする企業に紹介されるなど、他社の人事担当者や経営者が自社の取組みについて検討するきっかけを提供されています。

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