がんアライアワード受賞企業の取り組み事例

   

【がんアライアワード2020 ゴールド】株式会社富士通ゼネラルの「がんと就労」施策

【がんアライアワード2020 ゴールド】株式会社富士通ゼネラルの「がんと就労」施策

がんアライアワード2020に寄せられた、各社の「がんと就労」への取り組みをご紹介します。

 

ゴールド受賞:株式会社富士通ゼネラル

事業内容:空調機、情報通信の両分野において、製品及び部品の開発、製造、販売及びサービスの提供

従業員数:単独:1,642人(2020年3月現在) 連結:8,042人(2020年3月現在) 

ウェブサイト:https://www.fujitsu-general.com/jp/

取り組みのきっかけやエピソード

 

・申請者の自分がAYA世代で初期の乳がんを体験し、ステージが低く手術と放射線・ホルモン治療で済んだ。しかし、親族の既往歴もなく、食生活等にも気をつけていたのに、寛解前の4年目に肺や肝臓・骨に転移をした。抗がん剤治療を点滴で受けた際に、健康保険の高額医療の限度額を受けても、通院治療で月10万円以上かかり、かつ子どもにどのように伝えれば正しい理解をしてもらえるかを悩み苦労した。

 

・よって、罹患してから焦るのではなく、事前の知識や働き続けられるという情報があるだけで精神的にもだいぶ違うと実感したので、社員向けのセミナーなど情報発信を企画した。自分はまだ治療中なので、コロナ禍で白血球が少ないため、2月からずっと在宅勤務をさせてもらっているが、そういったことが自然になる風土づくりを病気だからでなく、多様性の1つとして更に取り組まないといけないと今年は実感したので、取り組んでいる。

 

・多様性の取り組みとしては、特にコロナ禍で社長より、「どんな疾患や事情があったとしても社員の雇用に影響することはない」と社内放送で直接話をしていただき、社員を鼓舞し、不安を取り除くメッセージを話してもらったことで、より健康経営でできることとして、コロナ禍での新たなマネジメントや、リフレッシュ方法、不安とストレスとの違い、など様々な情報を提供し、アンケートにより、より社員の支援となる内容を模索し続けているところである。

 

・当方はがん罹患者であること、子育てをしながらずっと働いて、感情的に理不尽な思いをしたことがあることなどをセミナーの度に話してきた。成功体験でもなく、今も罹患し、問題に直面していることを話すことで、心理的安全性の根幹となる。そして自分も話してもいいのだということを実感してもらっていた。

 

・また自分自身がどういった状況であれ、何を言われても事実であり、そのために困ることや学んだことを発してきた。その後、産業カウンセラーでもあることから個別の相談として、「部下への対応」「ご家族が罹患した際の対応」などの相談を社員の方からいただいた。

 

・基本、最後は自己決断による解決となるので、一緒に考えていきましょうという支援のスタンスで産業保健スタッフと連携し、最終的には産業医のもとで対応いただくような連携がとれるようになった。このケースから、セミナー実施や産業保健スタッフが、コツコツやってくれた全員面談は決して無駄ではなかったと実感している。

 

・家族の方も身内が働く会社として安心していただくためにファミリーデーなどイベントをしてきたが、そういったことの幅を今後は社長から、ヘルスパートナーの家族により強化をでき、広げられる体制や情報提供を徐々に取り組み始めている。

 

風土づくり

 

◆2018年度から管理職向け・一般社員向けセミナーをNPO法人CAN-netさんにご協力いただき、病気との付き合い方、部下ががんと告知した際にどう対応すべきか、何を配慮するかなどを不定期にセミナーを実施。またコロナ禍の中、現在のがん治療において、発症時に本人が懸念するキャリアについて、どう話をすべきかなどの内容を実施を検討している。

 

◆がんは治る病気であり、早期発見できれば、普通に働くことができ、かつ治療をしながらも仕事をすることが可能な病気であることを伝える情報提供を毎年実施。

 

◆実施アンケートから、管理職のみのセミナーにて、一般社員向けにも実施をしたほうがいいという声が多かったため、2019年度から毎年実施。

 

◆がんを正しく知ってもらい、(原因は特になく、なるときはなるんだということ)や、罹患しても後ろ向きにならない支援がうけられること、そして治療にかかるお金の話を保険会社さんからなど、病気に蓋をせず、向き合う力をつけてもらう。

 

◆自分が罹患した際に家族にどのように(特にお子さんに)伝えるか、またヘルスパートナーのご家族が罹患した際に相談する先が会社にはあること、傾聴研修を受けている多くいるので相談できる風土・環境をつくり続けている。

 

相談できる環境づくり

 

◆当社は産業保健を行っている健康管理センターの医療職が疾患者・有所見者に関わらず、全員面談を実施しているため、内部医療職にて相談を受けている。

 

◆上司と就業について健康管理センターがハブとなり、人事と職場と連携する体制を設けている。よって最終的には産業医が主治医と連携して配慮事項を確認し、働き方を提案し、本人にも説明をして納得を得ており、心理的安全性を担保する部門となっている。

 

◆傾聴研修、1on1ミーティング研修、ハラスメント研修など様々な研修を不定期であるが、管理職に実施し、相談面談と打合せの違いなどを学び、相談がきちんとできる管理職教育を行っている。

 

制度・配慮

 

◆健康診断時に健康保険組合の補助で、がん検診の数種類を選択できるようにしている。

 

◆人事制度については、有給休暇以外に積立休暇という制度で休暇取得が可能であり、またフレックス制度では、疾患を理由で必要により、取得が可能としている。

 

◆長期休暇者は、休み中も定期的に産業保健スタッフと面談をし、復職の懸念を払しょくする相談対応をしている。

 

◆休職後の復職手続きは、他の疾患同様、復職面談を人事・職場・産業医・本人で行い、どういった勤務時の配慮が必要かを本人も含めて確認し、定期的なフォローを行っている。

 

新型コロナウィルスの感染拡大による影響に応じて新しく始めた「がんと就労」の取り組み等に関するエピソード

 

・出勤することで満員電車などの市中感染を気にする社員がいる。よく話を伺うとステージ4のご家族がいらっしゃる方で、自分のせいで感染してしまう、とご心配をされていた。よって2月時点で全員の在宅勤務が適用でなかった制度であったが、ご家族への配慮を、法的解釈に即して対応した。(現在は全員適用)

 

・具体的には労働契約法3条の3項の「労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。」から、先行して人事に上司へ話をしてもらい、在宅勤務を行うことができた。

 

・結果的にご家族の様態が急変し、コロナ禍の中、葬儀をしなくてはいけないなどあり、現在ご本人がメンタル疾患になりかけているため、配慮を医療職にバトンタッチしている。制度がなくても何ができるかを模索することが人事や健康経営を担うものの役割であると実感できるケースであった。

 

・その後4月より派遣社員の方も在宅勤務ができるようになり、正社員については、コロナ禍の通勤問題や基礎疾患の場合は期限なく実施となった。

 

・また、6月からは全社員、上司との相談により、在宅勤務が認められるようになり、働きやすくなった。

 

・しかし全員とはいえ、在宅勤務率が100%にはなり得ない職種があるため、有事のある社員が自然に制度を活用できる風土醸成をすることで、罪悪感なく、いきいきと働ける「心理的安全性」をより構築できるよう、セミナー冒頭・終わりの事務局アナウンスにてコツコツと伝えていき、風土構築改革に取り組んでいる。

 

講評・コメント

 

コロナ禍で「どんな疾患や事情があったとしても社員の雇用に影響することはない」と社長が社内放送で直接メッセージを伝えられ、社員を鼓舞し、不安を取り除かれたというエピソードから、社員に対する温かな眼差しと思いが伝わってきます。
コロナ禍で不安を抱える社員と向き合ったエピソードからは、社員とそのご家族のために何ができるのかを考え、心をこめて制度を運用していることがわかります。

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