がんアライアワード受賞企業の取り組み事例

   

【がんアライアワード2019 シルバー】独立行政法人国際協力機構(JICA)の「がんと就労」施策

【がんアライアワード2019 シルバー】独立行政法人国際協力機構(JICA)の「がんと就労」施策

がんアライアワード2019に寄せられた、各社の「がんと就労」への取り組みをご紹介します。

 

シルバー受賞:独立行政法人国際協力機構(JICA)

事業内容: 政府開発援助(ODA)

従業員数: 1,919名(2018年3月末時点)

ウェブサイト:https://www.jica.go.jp/

取り組みのきっかけやエピソード

 

【がんとも会】

一人の女性職員の発案で「がんとも会」が2010年に結成されました。彼女自身のがん闘病を契機に、発病した職員ががんと共生できるよう、互いに語り合う場を作ろうと考え、発案したものでした。更には、JICAの事業現場は開発途上国であり、厳しい条件下での海外出張や途上国駐在が一般的な中、病気を患っても様々な形で事業に関わり、事業成果も個々の職業人生もともに最大化させられる制度や働き方の実現を願ったものでした。会の結成から3年後に彼女は旅立ちましたが、彼女の遺志は発展的に引き継がれ、制度改善への働きかけや啓発活動の推進などに活かされています。

 

【海外駐在中にがんが発見された一人の職員】

一時帰国中の健康診断でがんが見つかりましたが、ためらうことなく上司に相談できました。「がんとも会」の取り組みにより、がんとともに生きて働き続ける同僚の事例等が周知され、それを自然なこととして受け入れる雰囲気が醸成されていました。人事部からは健康最優先の指示があり、上司、事務所の同僚等、関係者の対応には「迷惑に思われているかもしれない」と感じさせられたことは全く無く治療に専念できました。後任配置が容易でない途上国の事務所から急遽帰国することとなったにもかかわらず、配置転換や、その後にがんの転移が判明し復帰が1ヵ月遅れることになった際の配慮も、機動的に行われました。

 

取り組みや制度

 

【事業理念と働き方~包摂性(Inclusiveness)と多様性(Diversity)~】

 

◆JICAは、「誰一人取り残さない」という包摂性(Inclusiveness)の理念を基に 2015年に国連で採択された持続可能な開発のための目標(SDGs)達成を支援する事業に取り組んでいます。例えば、開発途上国に対して、すべての人が適切な医療サービスを支払い可能な費用で受けられるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ制度の普及支援など様々な保健医療分野の事業を推進しており、がん治療においても、メキシコの子宮頸がん対策プロジェクト、セルビアの乳がん早期発見プロジェクトなどを実施してきました。また、経済・雇用分野では、各国の包摂的で持続可能な経済成長と働き甲斐のある人間らしい雇用(Decent Work)を実現するために、組織の目標や課題を全員で共有する日本の「カイゼン」導入による企業内労使関係の意識改革や労働安全衛生を含めた労働環境改善事業などを実施しています。

 

◆上記のような事業を推進する機関として、私たち自身の職場においても Inclusiveness の理念に沿った職場環境と風土づくりを目指しています。2019 年(令和元年)からは、「多様かつ変化の激しい開発課題に迅速かつ的確に対応するため、JICAスタッフ一人ひとりが、国際協力のプロフェッショナルとして潜在的な力を主体的かつ最大限発揮し、持続可能でイノベーティブな働き方・職場環境を実現することで組織全体のアウトプットを拡充」することを目的とし、“Teamwork in Diversity”をモットーとする 働き方改革「Smart JICA 3.0」を推進しています。その改革の柱として、「多様性の中で新しい価値を創出するためのチームワーク醸成」、「多様な人材の多様な働き方を促進」を掲げ、組織内のコミュニケーション促進、勤務形態の柔軟化や育児、介護、そして病気治療などと就労の両立支援等の具体的な取り組みと併せて職場の風土づくりも進めています。

 

相談できる環境づくり

 

◆がん罹患経験職員の集まりである「がんとも会」が、がんに罹患しても働きやすい環境づくりのため、同会の会員職員間にて情報共有や意見交換の機会を持っているほか、積極的に組織内に向けた情報発信を行っています。同会員のうち罹患経験を公表している職員には、会員以外の罹患職員からも様々な相談や質問等が寄せられています。同会の存在や、同会員による情報発信によって「組織としてがんとの共生をサポートする姿勢や雰囲気を感じ、がんを告知された際に心の拠り所となった」、「尊敬する職場の先輩、身近な同僚などもがん経験者であることを知り、がん経験者でも公平に仕事が評価され得る組織であると感じた」、「告知を受けた際にも、迷惑をかけるから退職した方がいいのか等、後ろめたい気持になることを避けられた」などの声が寄せられています。

 

◆育児(子の療育、シングル・ペアレントなど含む)、介護との両立、がんを含む疾患(メンタル含む)との共生など、多様な働き方を進める職員(2019年度25名)が人事部から「ワークライフバランス・メンター」として人事発令され、個々に相談を受け付けたり、キャリアコンサルテーションで助言をしたり、関連するワークショップで経験の共有を行ったりしています。

 

◆産業医/顧問医に職員が個別にアポイントをとり、がんに限らず疾病と勤務の両立について個別相談が可能です。罹患した職員のプライバシーを優先し職員本人による対応を主としつつ、必要に応じ人事担当者も産業医/顧問医に相談できる体制が整っています。

 

制度

 

◆多様な人材の多様な働き方を推進するために、テレワークのため在宅勤務制度及びサテライトオフィスを整備し、時差出勤を設けています。休暇等制度としては、病気休暇及び病気休職を整備し、失効年休の利用や年次有給休暇の時間単位取得を可能としています。また、一定期間の転勤免除制度として勤務地限定制度があり、多様な働き方を制度面から支えています。

 

◆自分が当事者となった場合、部下・同僚ががんになった場合、を考えるべく「働く世代のがん」「社会的背景」「治療と仕事の両立」について、「がん治療と就労の両立支援」セミナーを開催しました。今後も、継続してセミナーの開催を検討しています。

 

◆毎年の健康診断受診は徹底し、同結果を勤務条件決定(赴任、出張、勤務地限定制度適用など)に活用しています。健康診断実施の徹底と共に、人間ドックの受診を奨励しています(一部費用は健康保険組合による補助あり)。

 

講評・コメント

 

失効年休の利用や年次有給休暇の時間単位取得など、病気の治療に関する制度づくりを進められています。

 

ワークライフバランスメンターや産業医・顧問医など、がん罹患者が相談しやすい環境を整えられています。

 

「がんとも会」の取り組みのさらなる促進や、他機関・民間企業も巻き込んだ取り組みをさらに広げられることを期待しています。

 

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