がんアライアワード受賞企業の取り組み事例

   

【がんアライアワード2019 ゴールド】株式会社アデランスの「がんと就労」施策 - がんアライ部

【がんアライアワード2019 ゴールド】株式会社アデランスの「がんと就労」施策 - がんアライ部

がんアライアワード2019に寄せられた、各社の「がんと就労」への取り組みをご紹介します。

 

ゴールド受賞:株式会社アデランス

業種: 総合毛髪関連事業

従業員数: 2,408名(2019年8月15日現在)

ウェブサイト:https://www.aderans.co.jp/corporate/

取り組みのきっかけやエピソード

 

がんに罹患した従業員から「この先どうなるか凄く不安です。」 「心配を掛けるので、家族にも話していません。」等の声があり、その方にとって会社が心の一助となっていることを確信し、人事部として“何かやらなくては”と思ったのがきっかけです。当初、実際は何から手を付けたら良いのか分からず模索しているときに、「がんアライ宣言」の存在を知りました。 “宣言だけでもしてみよう!”と思い企画を上げたところ、経営層や広報、医療従事部門の方々から、いろいろな協力やアドバイスをいただき、想定以上の理解を得られるようになりました。また、社内には個々に、がん罹患者に対して支援をしている人がたくさんいることを知りました。

 

休職規定(就業規則)の改定や「がん罹患者就労支援に関する規程」の制定をしたことで、がんに罹患した従業員から「本当に嬉しかったです。今まで病気に悩まれていた従業員やこれからの方も本当に悩む必要がなくなることはありがたいです!」や社内報「絆」を読んで「いい社風になってきたなと感謝しています。」というコメントをいただきました。

 

当社は、ウィッグやその他毛髪関連商品を提供する会社です。がんに罹患し抗がん剤治療の影響で脱毛され商品をお買い求めに来られる多くのお客様がいらっしゃいます。お客様の立場や心情を理解し、「最高の商品」と「最高の技術と知識」「心からのおもてなし」をモットーに、従業員が日々サービスをしております。今後は更に、サービスを通じて、がん治療中のお客様から得られた知見を、がんに罹患した従業員に対するマネジメント強化やサポート体制の構築に利活用したいと考えます。

 

ご来店いただいたお客様に笑顔でお帰りいただくには、従業員自らが健康を確保し、笑顔を絶やさない安心していきいきと働ける職場環境の整備が大切です。これからも、一人ひとりがパフォーマンスを発揮できるよう取り組みを続けてまいります。

 

風土づくり

 

◆「がんアライ宣言」をきっかけに、会社は従業員ががんになっても治療をしながら安心して働ける職場づくりを目指すことを宣言し、利用しやすい制度やサポート体制等を拡充させること、がんの早期発見と予防のため健康診断の受診促進、相談窓口を社内報「絆」に掲載しました。その後も、制定した規程や冊子配布、相談窓口を社内ポータルサイトに掲載し啓蒙・周知を継続しています。 

 

◆がんと抗がん剤治療及び脱毛、がん罹患者の心理状況を理解するための社内講習会を実施しています。概ね入社半年以内に受講することとしており、9割以上の従業員が当該講習を終えています。

 

◆2011年から厚生労働省「がん対策推進企業アクション」の推進パートナーとして登録しています。全従業員に「がん検診のススメ」を配布しています。

 

◆女性がんサバイバーのコミュニティを運営している(一社)ピアリングに協賛し、冊子「がんと向き合う職場のために~女性がん経験者200人の声~」を発行しました。がんと向き合いながら就労している仲間の気持ちを大切にし、お互いを支援し協力する働きやすい環境について考えてもらうために、全従業員に冊子を配布しました。また、本社受付、その他一部店舗等においても、お客様にご自由にお持ちいただけるように配布場所を設置しております。

 

相談できる環境づくり

 

◆これまでは運用で行っていましたが、「がん罹患従事者就労支援規程」を制定し、会社は何を支援するか、支援してくれるのかを明文化しました。所定の申請書等も作成したことで、申告しやすくしています。

 

◆人事部内に就労支援担当者を選任しました。相談の概要が分かれば、スムーズに担当者に引き継がれます。

 

◆外部機関と契約し、病やメンタルケア等について家族も含み相談できる窓口を設けています。また、2020年度から人事部内に専門性を有した保健師等の健康相談窓口設置が決定しています。就労や復職等にあたっては主治医、産業医・保健師、所属長、就労支援担当が連携を図るフォロー体制になります。

 

制度

 

◆「がん罹患者就労支援に関する規程」を制定

 

治療休職からの復職もしくは就労条件の変更を希望する従業員は、所定申請書を提出することで、各種就労支援を受けることができる。

様式例)

「就労支援プラン申請書」

「治療休職制度申請書(新規・再申請)」

「再雇用特別措置登録申請書」 等

 

・治療休職制度・・・通常の休職制度に上乗せした休職制度(180日間)

 

・再雇用特別措置・・・がん治療によりやむを得ず退職した従業員が復職できる状態になった際、募集・採用に当たって対象者を優先する措置(登録制)

 

・積立有給休暇の取得限度日数の特例措置・・・通常の積立有給休暇取得限度日数を超えて取得が可能

 

・就労支援プランの作成・・・主治医等の意見書、当該従業員からの要望、産業医の意見等を踏まえて就労支援プランを作成し、当該従業員へ交付

 

・フォローアップ・・・通常勤務に戻ってからも、定期的に就労支援担当、所属長、産業医等が定期的に一定期間フォローアップの面談を実施

 

◆上記規程以外でがんに罹患した際、治療を支援する制度や復職時に働きやすい制度

 

コアタイムなしのフレックスタイム制、短時間勤務、休職制度(最大720日)、積立有給休暇(上限5日)、半日単位の有給休暇、在宅勤務制度、時間差出勤(15分おき24パターンの勤務時間帯から選択)

 

◆テレワークの導入(2020年度より実施予定)

 

◆アピアランスとして、オーダーウィッグの無償提供

 

◆従業員の健康管理とがん等病気の早期発見を目的として、健康診断受診率 100%を目指しています。人事部から社内イントラネットやメールで受診促進(再検査含む)と督促を行っています。また、検査結果や所見について、産業医から指導のフォロー体制をとっています。

 

◆受動喫煙含むがん等予防の取り組みとして、20,000円を上限に禁煙外来費用を会社が補助(社内名称:「禁煙チャレンジ」)

 

講評・コメント

 

「がん罹患者就労支援に関する規程」を制定されて、会社が支援をする内容について明文化されるなど、先進的な制度づくりをされています。

 

がんやがん罹患者の心理状況を理解するための社内講習を実施され、9割以上の従業員が受講されているなど、がんの理解を深める教育が行われています。

 

がんへの理解を促進する冊子を全従業員に配布しただけでなく、本社受付や一部店舗等でも手に取れるようにするなど、社外に向けた啓蒙活動まで行われています。

 

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