がんアライアワード受賞企業の取り組み事例

   

コロプラスト株式会社の「がんと就労」施策【ゴールド受賞】 - がんアライ部

コロプラスト株式会社の「がんと就労」施策【ゴールド受賞】 - がんアライ部

第1回がんアライ宣言・アワードに寄せられた、各社の「がんと就労」への取り組みをご紹介します。

 

ゴールド受賞:コロプラスト株式会社

事業内容:医療用装具・治療材料等の輸入、販売

従業員数:約150名

設立:1988年(デンマーク本社 創業:1957年)

ウェブページ:https://www.coloplast.co.jp/

 

がんアライ宣言

がんに罹患しても安心して治療と勤務を両立できるよう制度を整備し、社員と共有します。

取り組みの背景や特色

  • 社員の健康のための年次有給休暇取得率向上や残業時間の抑制に経営層が一体となって長期的に取り組んでいる。ワークライフバランスや風通しのよいコミュニケーションを重視した職場づくりのため、何かあったら上司や人事部に相談する環境ができている。

 

  • 過去にがん治療のため休職や休暇を取りながら勤務を継続した社員もおり、「がんに罹患したら辞めなければならない」という雰囲気がない。

 

  • がんアライ部に参加したことを契機に他企業の取り組みからも刺激を受け、自社のさらなる制度拡充のため10月に短時間勤務制度を導入、がん検診サポートや時間休についても検討を開始している。

 

制度

<社員の健康増進やがんを早期発見するための取り組み>

  • 10年以上前から健診受診時に発生する「一部負担金」を会社がサポート。検診機関窓口で各自が支払った後、社内経費精算できる仕組みを設けた(定期健診1,620円、生活習慣病3,240円、日帰人間ドック21,600円)。
  • 人間ドックを含む定期健診および再検査に必要とする時間を特別有給休暇扱いとしている(再検査は1回まで)。
  • 上記については全直雇用社員(正社員・準社員)を対象とし、毎年3月下旬にEメールで案内している(受診期間目安:4月1日~5月末)。
  • 過去10年以上健康診断受診率100%を維持。
  • 経営陣が時間外勤務時間を毎月モニターしており、継続的に残業時間を削減する活動に取り組んでいる(業務分析・プロセス改善/配置転換/等)。過去5年間で41%の削減 (時間管理対象者 月平均残業時間 7.1時間→4.2時間/最長月間平日残業 67時間→41時間)。

 

<がんに罹患した際、治療を支援する制度や復職時に働きやすい制度>

これまで育児・介護中の社員のみに適用されていた短時間勤務制度を、がんに罹患した社員も治療や休養に使えるよう制度改定(2018年10月1日付)。

 

風土づくり

<すぐに会社を辞めなくていいと伝わる風土づくり>

これまでがんに罹患した社員について「辞めなければならない」等の選択肢は本人からも周りからも一切出たことがなく、過去の事例の積み重ねが「すぐに会社を辞めなくていい」社風となっている。

 

<会社にある制度が使いやすい風土づくり>

  • 継続的に年次有給休暇取得率を上げる活動に取り組んでおり(年次有給休暇計画付与/部門長による働き掛け/有休取得率推移イントラネット掲載/等)、安心して休暇を取得できる社風がある。過去5年間で年間有休取得率は18ポイント上昇(51%→69%)
  • 健康診断受診をサポートするための費用、休暇等の案内を毎年3月下旬にEメールで発信しており、受診率も100%を維持。健診結果には産業医が目を通し、必要な場合はフォロー面談を実施。
  • 産業医訪問スケジュールや個別健康相談の申込み方法も社内イントラネットに掲載。
  • 休職・復職の規定や申請書、社内問い合わせ先は社内イントラネットに掲載。

 

相談

<上司に仕事や治療のことを相談できる環境>

  • 上司‐部下間のコミュニケーションは「1on1」や日常的な対話の中で相談しやすい環境が整っている。
  • パフォーマンスマネジメントシステムの中にも本人が望む今後のキャリアの方向性について記入する欄があり、正式なパフォーマンスマネジメント面談の中でもはたらき方に対する希望を話題にしやすい仕組みがある。

 

<人事担当が外部の医療従事者と相談する環境>

  • 産業医とよく連携が取れており、毎月の訪問時に人事部が社員の健康に関して相談をしている。
  • 社員が病気に罹患した際は(がんに限らず)、よりよい就業環境を確保するため、必要に応じ、本人の同意の下、上司と人事部が主治医を訪問し、相談することもある。

 

その他

<「がんと就労」における課題に対して取り組みを進めていること>

  • 健康診断受診時に発生する「一部負担金」については、会社が経費負担しているが、これに加えてがんの早期発見を後押しするため、オプショナル検診費用の一部会社負担について経営会議で検討を始めている。
  • がんの治療と就労の両立を支援するため、年次有給休暇の時間単位取得について経営会議で合意し、具体的な規程整備と勤怠管理システムの準備を進めている。

 

<実際に社員が罹患した際の対応・エピソード>

過去にがんに罹患した社員が2名いたが、いずれも体調に合わせて業務内容を調整する相談をしており、安心して治療を継続できる環境を確保した。残念ながら両名とも在職中に亡くなったが、その際はご遺族の気持ちに寄り添いながら丁寧に対応することを心掛け、グループ保険や退職金等の手続きも迅速に行った。

 

営業職男性: 手術および療養のため休職したが、復職にあたっては本人の希望を汲んで、出身地にある職住接近の業務に配置転換。その後も何度か休職や休暇、欠勤を繰り返したが、雇用については心配無用の旨、当時の上層部が伝え、定期的に面談を継続した。

 

営業職女性: 手術および療養のため休職した際、社会保険等に関してタイムリーな情報提供と手続きを心掛けた。会社のPCを使用してもらいながら、上司や同僚、人事部とのやり取りを継続した。復職した場合の体力回復までの業務についても本人の希望を基に合意する等、安心して治療に専念できるよう配慮した。定期的に入院先に通い、精神面も含めてできる限り支えた。お見舞いの際に贈った帽子を喜んでくれ、葬儀の際も被って旅立った。

 

<コロプラスト社の紹介>

コロプラストはデンマークを本社とする医療用装具・治療材料メーカーで、「個人的な健康上のニーズをお持ちの方々の生活をより快適に」をミッションに活動しています。社員はバリュー「Closeness(寄り添う気持ち)、Passion(情熱)、Respect and responsibility(尊重と責任感)」を体現することが期待されています。

 

コロプラスト製品をお使いくださるお客様にはがんを経験されている方も多くいらっしゃいます(ストーマ装具をお使いの方の大半が大腸がん罹患者)。このため、社員のがんに対する理解も進んでおり、温かい気持ちを持っています。オストメイト(ストーマをお持ちの方)の方々との交流にも取り組んでいます。

 

>>2018年度がんアライ宣言・アワード応募企業の事例集はこちら

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