がんアライアワード受賞企業の取り組み事例

   

【がんアライアワード2023シルバー】野村バブコックアンドブラウン株式会社の「がんと就労」施策 - がんアライ部

【がんアライアワード2023シルバー】野村バブコックアンドブラウン株式会社の「がんと就労」施策 - がんアライ部

がんアライアワード2023に寄せられた、各社の「がんと就労」への取り組みをご紹介します。

 

シルバー受賞:野村バブコックアンドブラウン株式会社

業種:航空機リース業

従業員数:50名

https://www.nbb.co.jp/nbb/

働く人を支える制度・ 体制

 

【1】がんと就労に関して、あるいは社員の健康や安全に関する基本方針等の表明

健康経営宣言/がんアライ宣言  

 

【会社の方針】

■野村グループとして、がんなどの治療と仕事の両立支援のため、2018年4月に「NOMURAの健康サポートプラン」を策定。これに伴い、衛生委員会や野村グループのイントラネットなどを通じて、治療と仕事の両立の支援について社内に情報発信している。

 

■野村グループとして、「野村で働くすべての人が、単に健康になるのではなく、肉体的にも、精神的にも、社会的にも満たされた状態(Well-being)になること」を健康経営のゴールとして社員全員と共有し、健康経営推進最高責任者(CHO:Chief Health Officer)のもと、健康保持・増進に向けた取組みを推進している。

 

【健康経営宣言】

■野村グループとして、2016年より「NOMURA健康経営宣言」を取りまとめ、社員の健康保持・増進を経営的な視点でとらえ、主体的に取り組むことを宣言し、HP等で社内外に公表している。

 

野村グループの最大の財産は、人材です。社員一人ひとりが自らのもつ能力や個性を十分に発揮し、活躍するためには、心身ともに健康であることが重要です。この理念のもと、野村グループは社員の健康保持・増進を経営的な視点でとらえ、主体的に取り組んでいきます。

 

【がんアライ宣言】

■がんアライアワード2022応募時に宣言。HPやイントラネットで社内外に公表している。

 

【2】休暇制度

傷病・病気休暇制度/傷病・病気休職制度/半日単位の有給休暇取得/時間単位の有給休暇取得

 

■傷病等休暇

勤続年数に応じ毎年10日~50日を傷病等休暇として付与。半日単位の取得も可能。

 

■傷病による休職制度

勤続年数に応じ、3か月~1年6か月間の休職が可能。

 

■半日・時間単位の年次有給休暇

 

【3】勤務制度

時差出勤制度/在宅勤務(テレワーク)制度/短時間勤務制度/リハビリ出勤制度(復職後、休職前の勤務時間より短時間で勤務する等の制度) /その他の勤務制度

 

■調整出勤(時差出勤)制度

通常勤務時に勤務時間をずらず調整出勤が可能。

 

■在宅勤務制度

1か月の所定勤務日数の8割以内で原則自宅での勤務が認められている。また、やむを得ない事情がある場合には上限8割を超過して在宅勤務を行うことができる。

 

■復職後の医師の診断に基づく短時間勤務

職制に応じ、復職日から最大6か月以内の期間について勤務時間の短縮が可能。短縮勤務は復職スタート時に取得してもしなくてもよく、通常勤務で復職した後、体調等に合わせて医師の診断に基づき、短縮勤務に変更することも可能。

 

■シフト勤務制度

通常勤務に加え、5つの時間帯でのシフト勤務が可能。

 

【4】支援体制

社員相談窓口の設置/保健師・産業医等の医療職の支援/外部医療機関との連携/上司等との1on1、面談等の機会/人事担当者等との面談等の機会/主治医との書面上での情報連携/(休職を要さない場合)両立支援プランの策定・実行/休職中のフォロー/(休職した場合)職場復帰支援プランの策定・実行/復職後のフォロー

 

■社員の健康に関する社内相談窓口を用意している。

・コーポレート統括部 人事課:産業医・保健師と連携し、会社全体の健康管理を行うとともに、個別社員の相談窓口として対応している。

 

・カウンセリングルーム:各社員の必要に応じて、臨床心理士ががん等に罹患した後のキャリア等に関する相談にのっている。

 

・健康保険組合:セカンドオピニオンや専門医療機関への紹介・受診手配のサービスを提供している。

 

■定期的に社員と上司が1対1でコミュニケーションを取る機会を持つように推奨しており、業務に関すること以外にもキャリアやプライベートに関することを相談することができる。また、全社員を対象に「心理的安全性」に関する研修を行い、誰もが気兼ねなく自分の状況や意見を言える職場づくりを推進している。

 

■欠勤した社員と上司に対して、休みに入った段階で療養と復帰に関する情報提供を行っている。復帰前には、会社が指定する書類(勤務情報提供書、主治医の就業に関する意見書、生活記録表など)を準備しながら、本人や職場における復帰準備を促し、必要な場合は産業医面談を行い復帰後の業務によって体調が悪化しないよう体制を整えている。

 

■治療と仕事を両立している社員の体験談に投稿した一部の社員が連絡先を開示し、サバイバー自らが野村グループ社員からの相談を受ける環境がある。

 

■外部支援サービス(EAP等)の活用

セカンドオピニオンや専門医療機関への紹介・受診手配のサービスを提供。

 

■両立支援プランの策定・実行

休職や、休職に至る前の欠勤から復帰する際には部署と本人が面出して復職プランを作成から復帰。人事、産業医が内容を確認して復帰を判断。復帰後は主治医の意見を踏まえ適宜見直しを行っている。

 

■休職中のフォロー

担当する保健師が社員からの相談に対応。

 

■復職後のフォロー

担当する保健師が復帰時、復帰後に定期的にフォローアップを実施。

 

【5】健康増進支援 

健康診断受診率増加に向けた取り組み/健康診断受診率100%達成/がん等の任意検診受診費用の補助/人間ドック費用の全額補助/健康診断で「要検査」となった人のサポート/必要に応じた産業医・保健師の面談/禁煙に関する取り組み/日常的な健康増進に関する取り組み(運動習慣獲得、食事管理、睡眠管理等)/健康増進イベントの開催/健康管理に関するアプリの配布/休憩室の整備/その他健康増進支援 

 

■健康診断受診率増加に向けた取り組み

30歳以上の社員は人間ドックを健康診断の代替としており、受診率増加のため、1. 人間ドック早期受診者にポイントを付与、2.人間ドック受診時には有給の「人間ドック休暇」を利用可能、3.人事担当者からのメールや電話による勧奨を実施している。

 

■がん等の任意検診受診費用の補助・人間ドック費用の全額補助

人間ドックの検査項目には胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮がん、前立腺がん検査が含まれ、全額健康保険組合が補助。子宮頸がんは全女性社員に全額補助。

 

■健康診断で「要検査」となった人のサポート

健康診断・人間ドックで二次検査が必要になった社員へ受診勧奨を実施。また、がん検診項目で要精密検査となった社員へは健康保険組合とのコラボヘルスにより受診勧奨を実施しており、それぞれ二次検査・精密検査受診時は、有給の二次検査休暇を利用可能。

 

■必要に応じて、産業医・保健師の面談

健康診断事後措置において、必要に応じて産業医・保健師が本人と面談を実施している。

 

■望まない受動喫煙の防止と社員の疾病予防のため2021年10月より就業時間内禁煙を導入した。同時に健康保険組合が実施しているオンライン禁煙プログラム費用の全額補助の継続や、禁煙に成功した社員へポイントインセンティブを付与するサポートを実施している。社内喫煙所は2021年12月末を以てすべて廃止した。

 

■管理栄養士を招き、血糖・BMI改善や睡眠の質の改善等をテーマに食や栄養に関する勉強会を実施した。

 

■日常的な健康増進に関する取り組み(運動習慣獲得、食事管理、睡眠管理等)

1. 社員の健康増進のため、部署ごとの平均歩数を競うオンラインのウォーキングイベント「ノム☆チャレ」を毎年実施。歩数や写真を全社員で共有し、「いいね!」やコメントの投稿で応援し合うことで、社員のコミュニケーション向上や運動習慣の定着につなげている。同時に参加者の歩行距離に応じた金額の寄付を行っており、2022年度は「認定特定非営利活動法人キッズドア(NPO Kidsdoor)」に寄付。社員個人への健康増進のみならず、寄付という形での社会貢献につなげている。

 

2.管理栄養士による「食事による生活習慣予防」「アルコールのおつまみの選び方(肝臓の負担の減らし方、機能正常化促進)」「時間栄養学」に関する動画を提供。健康プラットフォーム「WellGo」に食事や間食、飲酒状況を入力できる機能を活用し、入力した社員にインセンティブポイントを付与している。

 

■健康増進イベントの開催

セントラルスポーツ・avivo・メガロスのインストラクターによる「健康増進セミナー」を健康保険組合が提供。肩こり、睡眠などのテーマを部署が選択し最大3回実施可能としている。

 

■健康管理に関するアプリの配布

健康経営プラットフォーム「WellGo」を導入。健康診断結果や医療費、歩数や食事記録などの健康データの見える化機能や、eラーニングや健康クイズ配信によるヘルスリテラシー向上機能などを各自活用している。またイベント機能を利用してウォーキングイベントを開催することにより社員同士がSNSのように投稿し合うことによってコミュニケーション活性化にもつながっている。

 

■休憩室・休養室を整備し、常に清潔で衛生的な状態で使用できるよう管理を徹底している。

 

■年間の有給休暇取得目標を設定し、定期的に連続休暇の取得を推奨することで、休暇を取得しやすい雰囲気を醸成することに努めている。

 

■過重労働が生じないにように、システムで時間外労働時間のモニタリングを行っており、一定時間に達した場合は、事前に管理者にアラートが発信される仕組みを取り入れている。

 

【6】その他の制度・体制

健保組合の高額療養費制度により、医療費の自己負担額が約25,000円/月に抑えられ、傷病手当金も付加給付を含め1日当たり標準報酬月額平均額÷30の5/6まで支給されるため、経済的な心配をせずに治療に専念できる。

 

働く人を支える風土、環境

 

【1】啓発、研修

社員向けのがんに関する研修/上長・管理職向けの両立支援に関する研修/女性向けのがんに関する研修/がんに関するe-ラーニングコンテンツの提供/罹患者の体験談を聞く機会の提供/その他啓発、研修

 

■がんなどの理解を深めるための啓発活動として、以下の取り組みを実施した。

・毎月野村グループで制作している健康番組(動画)において、「がん検診後の精密検査」について取り上げ、2019年度より健保組合が開始した精密検査受診勧奨の状況を共有するとともに、早期発見・早期治療の大切さについて改めて訴えた。

 

・衛生委員会において、野村グループで作成している健康ワンポイント動画を毎月紹介しており、「働く世代に多い乳がん、子宮頸がん」「『がん』の治療と仕事 どうする?両立」「若い世代の女性に多い子宮頸がんについて」について周知した。

 

・新任管理職研修において、復帰フローと両立支援ガイドブックに関する情報を提供した。

 

■治療と仕事を両立している社員の体験談を「キラッとNOMURA Life~私の体験談~」として野村グループのイントラネットに掲載し、がんに対する社内の理解浸透を進めている。

 

■また、風土づくりの効果検証をするために、全社員向け調査(健康意識調査)にて社員の意識を確認し、健康経営の推進に向けた施策検討に活用している。

 

■女性向けのがんに関する研修・がんに関するe-ラーニングコンテンツの提供

女性自身や周囲のリテラシー向上のため、性別を限らず全従業員を対象に女性の健康に関する研修を実施。CHRO兼CHOとCradle代表取締役スプツニ子!氏による「企業が女性の健康に取り組む意義」の対談や「月経」「子宮頸がん」「更年期」「男性の更年期」の動画を視聴してリテラシーを身につけることで、男女それぞれが必要な時に対処しお互いを思いやれる環境を整備している。

 

■野村グループとして、Well-being研修 兼 メンタルヘルス研修として企業が女性の健康や男性の健康に取り組む重要性やメンタルヘルスについての基本についてe-ラーニングを実施し、Well-being向上を図っている。

 

■罹患者の体験談を聞く機会の提供

がんに罹患した従業員の座談会を初めて開催。実名・匿名を本人が選択できるようにし、これまでの経験や両立しやすい職場環境を作るためのディスカッションを行った。初めての試みだったが9名参加し、事後アンケートで満足度は87.5%となっており、継続的な開催を望む声が多数だった。

 

【2】情報発信

イントラネット、社内ポータルサイト等での情報発信/メルマガ等での情報発信/両立支援に関するハンドブック・ガイドブックの配布/罹患者の体験談を見られる機会の提供

 

■2018年度から治療と仕事を両立する社員の体験談を野村グループのイントラネットに掲載しており、匿名・写真なしで可としているが、体験談を読んだサバイバーから徐々に実名・写真入りでの掲載希望が増えている。また、体験談を掲載した社員へ個別に相談したり、体験談を読んでがん検診の重要性を認識した社員が体験談を社内に拡散するなど、社員発の動きが増えてきている。

 

■野村グループとして、社員と上司向けの「治療と仕事の両立支援ガイドブック(本人編、上司編)」を作成。本ガイドブックには、がんなどの病気により治療を続けながら仕事をする社員が安心して仕事と治療を継続することができるよう、本人のみならず上司の対応方法などが掲載されており、野村グループのイントラネットを通じて、閲覧可能な状態にしている。

 

■健康保険組合より「健康だより」として月に一回メールマガジンが配信され、就労世代が知っておきたいがんの知識等について紹介している。

 

【3】コミュニティ

がん罹患者・経験者同士のコミュニティ

 

野村グループとして、現在がん治療をしている方、がん治療を経験したことがある方を対象とした座談会を開催。治療と仕事の両立、周囲へのカミングアウト等、悩みや自身の体験をシェアする機会を設けている。初めての試みだったが9名参加し、事後アンケートで満足度は87.5%となっており、継続的な開催を望む声が多数だった。

 

【4】対外的な活動

なし

 

【5】その他の風土・環境

■従業員サーベイの実施

従業員サーベイを実施し、治療との両立等も含めた従業員エンゲージメントの向上を図っている。

 

エピソード・思い

 

■がんアライ宣言の趣旨に賛同する社員が多数おり、がんアライの風土を草の根的に少しずつ広げている。

 

■がんへの理解を深める教育や社内の理解浸透を促進する情報発信を強化するとともに、野村グループで活用可能な制度についても改めて社内に周知していきたい。

 

■がんに罹患しても、心理的安全性が確保されて、いきいきと働くことのできる組織づくりを進めていきたい。

 

【1】がんと就労の取り組みを始めたきっかけ

■社員が働きやすい職場環境の整備を検討する中で、病気に罹患した際の制度や相談窓口が整備されいないと感じ、取り組みを始めることを決めた。

 

■今後、働く期間が一層長くなる中で、誰もががんに罹患する可能性があり、治療と仕事の両立は今後ますます重要なテーマになってくると感じている。

 

【2】他社の担当者への応援メッセージ

「がんアライ」の活動を知り、小さくてもできる活動から始めています。がんアライの活動の輪が多くの企業、団体、個人にさらに広がるように、一緒に頑張っていきましょう。

 

講評・コメント

 

通常勤務と5パターンのシフト勤務が選択可能であることに加え、今年度から調整出勤(時差出勤)制度が加えられ、働きやすい職場づくりを進められています。罹患社員が野村グループ社員に相談できる環境を整えられており、自社だけでは賄いきれない罹患者のニーズを、グループでの協力体制も整えることで満たされていることは素晴らしいです。

 

※上記オレンジ色の枠内の項目は、がんアライアワード2023応募シートでチェックいただいた項目と同一のものです。

 

>>「がんアライアワード2023」受賞企業一覧はこちら

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